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【三井住友海上と「健康増進保険」でアジアを開拓】メドリング・安部一真氏の「人生の転機」

財界オンライン 2021年11月12日 18時0分

わたしが4歳の頃、まだ30歳の父が心筋梗塞で急死しました。

 当時は、何が起きたかよく理解できていなかったのですが、高校生頃になると「なぜ父は死んでしまったのか」と考えるようになりました。

 父は不摂生もあって太っていて、母も若かったこともあり、父の健康をコントロールできず、ある日突然亡くなってしまったのだと理解しました。

 どうにかならなかったのかと思う一方、遺族に対して高額な医療費の請求もなく、遺族年金という形でサポートも得られるなど、日本の社会保障制度の優れた点も理解しました。

 ただ、日本のように優れた制度がある国は多くありません。日本も増え続ける社会保障費が問題になる中で、果たして10年、20年後も制度が維持されているのか、疑問を抱くようになりました。

 学生ながら、公費(税金)に依存せず、ビジネス的にも収支がまわることが、医療の世界にも必要なのではないかと考え、役人を志しました。ビジネスとしても成り立つことが大事だと考えたので、厚労省ではなく、経産省の門をたたきました。

 経産省では1年程、医療制度や保育園制度などの改革推進に携わったものの、力及ばず、何もできずに忸怩たる思いを経験しました。

 日本の制度は優れており、多くの問題を抱えながらも現状はまわっているため、強烈に変えなければいけない、というインセンティブが働かない現実がありました。そして、自ら何かを変えていける人間になれるよう、経産省を辞めて起業しました。

 日本の医療制度は、よほど苦しくなるまで変わらないと確信し、自ら新しいクリニックを起業しようと考えました。

 ただ、国内では様々な壁があることがわかり、”何十年後かの日本の医療”に近いといえる新興国でビジネスモデルを作り、日本が規制の壁を壊さざるを得なくなった時、それを逆輸入したいと考えました。

 そこで進出したのがベトナムです。ベトナムでは公費で運営される病院への信頼度が低く、お金がある市民は民間のクリニックに通っています。ただ、お金がなければ民間のクリニックには行けないため、安価に質の高い医療を受けられるクリニックをベトナムに普及させたいと思っています。

 そのためにも医療のデジタル化と、ベトナムの医師が日本の医師に治療のアドバイスを受け、日本の質の高い医療を享受できる環境の整備を進めています。

 2020年12月に1号院をオープンし、2号院のオープンも計画しています。日本の医療崩壊を防ぐような仕組みを作り、国内外の患者さんのお役に立ちたいと思っています。



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