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“低炭素”から“脱炭素”へ 『東京ガス』が商社と相次ぎ連携

財界オンライン 2021年12月9日 7時0分

東京ガス(内田高史社長)が、都市ガスの脱炭素化に貢献できる「カーボンニュートラルメタン」の導入を目指して、商社との連携を加速している。

 カーボンニュートラルメタンは、再生可能エネルギー由来などの水素とCO2(二酸化炭素)を合成したメタン。メタンは都市ガスの原料として知られ、カーボンニュートラルメタンの利用(燃焼)によって排出されるCO2と分離回収されたCO2とが相殺され、CO2排出量が実質ゼロとみなされる。このため、「熱需要に必要なガスの脱炭素化手段として注目が高まっている」。

 まずはマレーシアで、住友商事と同国国営石油会社ペトロナスの3社が提携。同国で再生可能エネルギー由来のグリーン水素とCO2のメタネーションにより、カーボンニュートラルメタンを合成。日本に導入するサプライチェーン(供給網)を構築するため、事業可能性調査を共同で開始する。

 メタネーションとは、水素とCO2を化学反応させ、都市ガスの主成分であるメタンを合成する技術。この技術を活用して合成するカーボンニュートラルメタンは、製造から利用までの過程においてCO2を増やすことなく、取り扱い技術が確立した高熱量のエネルギーが得られるとされる。また、液化プラントやLNG(液化天然ガス)船、都市ガス設備など、既存のインフラが活用できる利点がある。

 また、三菱商事とも北米や豪州、中東、アジアなどのLNG輸出国で、再エネ由来のグリーン水素とCO2から製造する合成メタンのサプライチェーン構築に向けた事業可能性調査を共同で開始する方針だ。

 東ガスがカーボンニュートラルメタンの実現を目指すのは、世界中で急速に脱炭素化へ向けた動きが加速しているから。

 これまで同社は石炭に比べてCO2排出量がおよそ半分になる天然ガスを導入することで”低炭素化”に貢献してきた。しかし、天然ガスはCO2を排出する。 ”脱炭素化”が求められるようになった今、同社の危機感は強い。水素も含めた新たな技術開発に向けては、まだまだ課題も多いが、これまで培ってきたメタネーション関連技術などを生かして、脱炭素化時代の生き残りを図る東京ガスである。

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