国土交通省は、コンテナ船など国際海運に携わる船舶が排出する温室効果ガスを2050年までに実質ゼロにする新たな目標を、国際海事機関(IMO)に提案した。現在は2100年までのゼロを目指す方針で、大幅な前倒しとなる。斉藤鉄夫国交相は「世界の脱炭素化への貢献と、日本の海事産業の国際競争力強化を図る」と意気込む。
国際海運で排出される温室効果ガスは、IMOが一元的に対策を実施。二酸化炭素(CO2)の排出量は約7億トン(18年)で、世界全体の約2%を占める。
新目標の合意に向けては、各国との難しい交渉が予想される。ただ、IMOで温室効果ガス削減を議論する委員会の議長を同省海事局出身の斎藤英明氏が務めていることもあり、同局の幹部は「日本が非常に高いプレゼンスを有している」と合意実現に自信をのぞかせる。
業界を巡って、日本はかつて船舶の建造量で世界シェアトップを誇っていたが、1990年代ごろから低価格競争を展開する中国、韓国勢が台頭。2020年時点のシェアは中国が40%、韓国が31%で、日本は22%と苦戦を強いられている。
新目標が合意されれば、環境性能が高い船舶が市場から選択される状況になるとみられ、先の幹部は「この局面がゲームチェンジの大きな転換点になる」と強調。政府は、CO2を排出しない水素エンジン船などの開発を行う事業者に対し、今年度から10年間で計320億円の補助を行うことを決定した。
ただ、液化天然ガス(LNG)を燃料とする船舶など、中韓勢が優位に立つ分野もある。先の幹部は「いかに世界に先駆けて技術開発を進めるかが、今後の日本の海事産業の命運を握っている」と気を引き締めていた。
日本が2年連続「化石賞」となる中、エネルギー基本計画が閣議決定
国際海運で排出される温室効果ガスは、IMOが一元的に対策を実施。二酸化炭素(CO2)の排出量は約7億トン(18年)で、世界全体の約2%を占める。
新目標の合意に向けては、各国との難しい交渉が予想される。ただ、IMOで温室効果ガス削減を議論する委員会の議長を同省海事局出身の斎藤英明氏が務めていることもあり、同局の幹部は「日本が非常に高いプレゼンスを有している」と合意実現に自信をのぞかせる。
業界を巡って、日本はかつて船舶の建造量で世界シェアトップを誇っていたが、1990年代ごろから低価格競争を展開する中国、韓国勢が台頭。2020年時点のシェアは中国が40%、韓国が31%で、日本は22%と苦戦を強いられている。
新目標が合意されれば、環境性能が高い船舶が市場から選択される状況になるとみられ、先の幹部は「この局面がゲームチェンジの大きな転換点になる」と強調。政府は、CO2を排出しない水素エンジン船などの開発を行う事業者に対し、今年度から10年間で計320億円の補助を行うことを決定した。
ただ、液化天然ガス(LNG)を燃料とする船舶など、中韓勢が優位に立つ分野もある。先の幹部は「いかに世界に先駆けて技術開発を進めるかが、今後の日本の海事産業の命運を握っている」と気を引き締めていた。
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