日立製作所(東原敏昭会長兼CEO=最高経営責任者)と米GE(ゼネラル・エレクトリック)の合弁会社GE日立・ニュクリアエナジーが、カナダで小型の原子炉を建設することになった。早ければ2028年に完成する予定。世界中で脱炭素が求められる中、改めて、原子力の存在意義が問われている。
GE日立がカナダ・オンタリオ・パワー・ジェネレーション社(OPG)から受注したのは、小型モジュール炉と呼ばれる小型の原子炉。従来の大型炉の出力は100万㌔㍗級が多いが、小型炉は数十万㌔㍗程度。大型炉に比べて安全性が高く、建設や運転コストを大幅に削減できるように設計されているという。
安倍政権時代に、原発や新幹線などのインフラ輸出を日本の成長戦略として掲げてきた日本。しかし、原発輸出をめぐっては、新興国との競争激化に加え、より安全性を確保するための建設コスト高騰が日本勢を直撃。東芝は米国子会社だったウェスチングハウス(WH)を売却したほか、三菱重工業はトルコ、日立は英国それぞれでの原発プロジェクトを断念した。
しかし、ここへきて、世界中で脱炭素化の流れが加速。発電時に温室効果ガスを排出しない原子力への注目が再び高まっている。この12月に入ってからだけでも、フランス電力が今後の原発輸出を見据えて、チェコやポーランド、インドの企業と協業を締結した他、フィンランドやポーランドが小型炉の建設に意欲を見せている。
こうした流れを受けて、国内電力会社幹部は「原子力は経済性や環境面に優れ、安定供給という面から信頼できる電源の一つ」と主張するが、国民の不信感は今も根強い。また、小型炉であっても、放射性廃棄物をどう処理するかという”核のゴミ”問題は残されている。
日本は2030年に温室効果ガス排出量13年度比で46%減少させる計画。その際の電源構成で原発は20~22%とする方針だが、この数値を達成するには約30基の再稼働が必要。しかし、東日本大震災後に再稼働した原発は現状で10基に留まっている。政治家や官僚は真正面から原発について議論しようとしておらず、日本のエネルギー戦略は依然不透明なままだ。
日本が2年連続「化石賞」となる中、エネルギー基本計画が閣議決定
GE日立がカナダ・オンタリオ・パワー・ジェネレーション社(OPG)から受注したのは、小型モジュール炉と呼ばれる小型の原子炉。従来の大型炉の出力は100万㌔㍗級が多いが、小型炉は数十万㌔㍗程度。大型炉に比べて安全性が高く、建設や運転コストを大幅に削減できるように設計されているという。
安倍政権時代に、原発や新幹線などのインフラ輸出を日本の成長戦略として掲げてきた日本。しかし、原発輸出をめぐっては、新興国との競争激化に加え、より安全性を確保するための建設コスト高騰が日本勢を直撃。東芝は米国子会社だったウェスチングハウス(WH)を売却したほか、三菱重工業はトルコ、日立は英国それぞれでの原発プロジェクトを断念した。
しかし、ここへきて、世界中で脱炭素化の流れが加速。発電時に温室効果ガスを排出しない原子力への注目が再び高まっている。この12月に入ってからだけでも、フランス電力が今後の原発輸出を見据えて、チェコやポーランド、インドの企業と協業を締結した他、フィンランドやポーランドが小型炉の建設に意欲を見せている。
こうした流れを受けて、国内電力会社幹部は「原子力は経済性や環境面に優れ、安定供給という面から信頼できる電源の一つ」と主張するが、国民の不信感は今も根強い。また、小型炉であっても、放射性廃棄物をどう処理するかという”核のゴミ”問題は残されている。
日本は2030年に温室効果ガス排出量13年度比で46%減少させる計画。その際の電源構成で原発は20~22%とする方針だが、この数値を達成するには約30基の再稼働が必要。しかし、東日本大震災後に再稼働した原発は現状で10基に留まっている。政治家や官僚は真正面から原発について議論しようとしておらず、日本のエネルギー戦略は依然不透明なままだ。
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