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【外務省】「外交的ボイコット」巡り、北京五輪の対応に悩む林大臣

財界オンライン 2021年12月25日 15時0分

中国の人権問題にどう向き合うか――。就任間もない林芳正外相と外務省にとって、目下最大の悩みとなっている。

 当面の課題は、2022年2月に開幕する北京冬季五輪への対応だ。米バイデン政権は12月7日、開会式に政府関係者を一切派遣しない「外交的ボイコット」を行うと発表した。オーストラリアも翌8日に同様の措置を行う方針を明らかにした。英国やカナダにも追随を模索する動きが広がる。

 自民党には、日本が人権問題で毅然とした対応を示すため、欧米と同様に政府使節団を一切派遣しないよう求める声が強い。一方、外務省は、22年が日中国交正常化から50年の節目を迎えることも踏まえ、東京夏季五輪で中国側が派遣した閣僚級のスポーツ行政関係者を送るべきだという意見が多いという。

 岸田文雄首相は、政府のスポーツ行政の責任者となる室伏広治スポーツ庁長官と、政府関係者でもない山下泰裕日本オリンピック委員会会長のどちらかを派遣する方向で検討している。

 同省幹部は「室伏氏なら、閣僚級でないとしても、米国と同じ『外交的ボイコット』とは一段違う政府関係者として、中国の顔を立てることができる」と指摘。官邸に室伏氏の派遣を求めていると明かす。ただ、官邸には米国と足並みを揃える必要性を優先し、山下氏を推す声も強い。

 これまで外務省は、日米や豪州などを交え、複数国で対中包囲網を作る外交戦略を基本に据えてきた。ただ、22年は日中が特別な年を迎えることも勘案し、「五輪は米国と横並びでなくともいい」という声の方が増えている。派遣者の行方は、官邸が外務省の対中外交路線をどれだけ採用するか測るバロメーターにもなりそうだ。

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