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どうなる? 日本のエネルギー③ 内田高史・東京ガス社長を直撃!

財界オンライン 2021年12月28日 18時0分

脱炭素に向け、再エネ、水素、メタネーションの3つで勝負

 ―― 東京ガス社長の内田高史さん、コロナ禍の2年間をどう総括しますか。

 内田 コロナももちろんですが、われわれはこの2年間、脱炭素化の波にかなり翻弄されました。われわれはエネルギー事業者であると同時に公益事業者ですから、コロナが来ようとなかろうと、ガスを止めるわけにはいかないし、電気を止めるわけにもいかない。改めて、そうした使命と責任を強く感じた2年だったと思います。

 もう一つは脱炭素が求められる時代に、化石燃料である都市ガスがこれからどうなるかというのを明確にしないといけませんでした。コロナと脱炭素で社会のパラダイムが大きくシフトした2年でした。

 一方で、いきなり全てのエネルギーが再生可能エネルギーに替わるわけではありません。トランジション期(移行期)のエネルギーのあり方というものを考えたら、天然ガスは必要なエネルギーです。石炭から天然ガスに変えるだけでCO2(二酸化炭素)は50%削減できますから、天然ガスは今後も脱炭素への道筋をつける重要なエネルギーとして大きな役割を果たす存在であると考えています。

 ―― 無資源国・日本にとっては、天然ガスは現実的に必要なエネルギーですね。

 内田 ええ。一方で、われわれは再エネ開発など、脱炭素化に消極的なわけではありません。すでに太陽光や風力、バイオマス発電などに参画していますし、水素のサプライチェーン(供給網)構築にも乗り出しています。

 水素の開発はまだ製造コストや運搬方法などに課題がありますが、われわれには天然ガスの知見がある。天然ガスから水素を製造して、そこで発生するCO2を分離回収し地中貯留する”CCS”技術の開発を進めています。

 また最近では、再エネの電気でつくった水素とCO2を合成してメタンをつくる”メタネーション”技術の開発が期待されています。この技術によりガス機器を含む既存の都市ガスインフラを有効活用できます。これまで先輩方が培ってきた技術やノウハウをそのまま活用できますので、当社はこれから再エネ、水素、メタネーションの3つで勝負したいと考えています。

 ―― そうなると、他社との連携も大事になってきますね。

 内田 ええ。われわれがやろうとしていることは、サプライチェーンの上流のところから変えていこうということです。こうした考えから、住友商事や三菱商事と連携してカーボンニュートラル(温暖化ガス排出量実質ゼロ)メタンのサプライチェーン構築の検討に入ったり、米国の洋上風力のスタートアップ企業に出資したりして、脱炭素化に貢献したいと考えているところです。

”低炭素”から”脱炭素”へ 『東京ガス』が商社と相次ぎ連携

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