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どうなる? 2022年のテーマパーク業界 加賀見俊夫・オリエンタルランド会長に直撃!

財界オンライン 2022年1月4日 18時0分

世界で体験できないことを体験できるテーマパークづくり

 ── オリエンタルランド会長の加賀見俊夫さんには人に元気を与えるテーマパークビジネスの22年の見通しを伺います。

 加賀見 私どものビジネスは他の業界とは見方が異なるかもしれません。政府からの要請にもよりますが、2022年度も何かしらの感染症対策が必要な状況が続くと見ていて、ソーシャルディスタンスを保ちながらのパーク運営を想定しています。制限がいつ撤廃されるかはわかりませんが、コロナからの回復だけではなく、その先も見据えた長期持続的な集客の実現を目指しています。

 ── 新たな課題ですね。それでも投資は継続していました。

 加賀見 はい。21年9月に東京ディズニーランドの拡張を行いましたが、これでは約750億円を投資しました。23年度には東京ディズニーシー(TDS)に新テーマポート「ファンタジースプリングス」が開業する予定で、ここでは約2500億円の投資です。コロナ禍での物流停滞による資材運搬の遅れや、海外からの入国制限による人員不足などが懸念されており、工期や投資額への影響を精査しているところです。

 ── 業績の面では厳しい状況が続いていますが。

 加賀見 当初想定していた以上に緊急事態宣言等が長引き、今年度は黒字化化は厳しいと判断しましたが、引き続き体験価値や単価の向上に注力していきたいと考えています。。実はコロナ禍でゲストのニーズがだいぶ変わってきています。今まではグループやファミリーが多かったのですが、最近は2~3人で来るなど同行形態が変わってきました。さらに、個々に好みも違っています。それに対応する新しい楽しみ方を考え、提供することがポイントになります。

 ── 加賀見さんはかねてより「オンリーワン」の創出を目指してきていますね。

 加賀見 東京ディズニーリゾートに来れば、世界で体験できないことを体験できるというオンリーワンの形でやっていかなくてはいけません。規模で競争しても、絶対に海外または他の海外テーマパークにはかないません。日本人が何を求めているかを追求することが重要だと思います。日本人の感性と米国人の感性は違いますので、そのあたりを日本人の感性にどう合わせていくかです。

 今のTDSに当たる第2パークを作るときも、最初は米国にある「ディズニー・MGM・スタジオ」を作ろうという話もあったのですが、映画への思い入れが異なる日本では難しいということでTDSになりました。しかしこれが世界で唯一の生みをテーマにしたテーマパークとなったのです。日本人の感覚を生かすことが社員の自信にもつながった一例ですね。

一喜一憂せずに、経済再生とコロナ対策の両立へ【私の雑記帳】

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