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5年で売上を倍増させた経営戦略とは? 澤田千尋・コムチュア社長を直撃

財界オンライン 2022年1月13日 7時0分

成長あってこその分配

 ―― 2022年3月期の業績は売上高241億円、営業利益38億円と前期比で2割近く増収増益となる見通しです。改めて、コムチュアの強みとは何だと考えていますか。

 澤田 言ってみれば、世界的に最先端のものを使えるというのが、クラウドの最大の特徴ではないかと考えております。われわれはクラウド周りでシステム開発をすることが多いのですが、いずれもグローバルのプラットフォーマーとの連携を大切にしています。

 例えば、アマゾン、マイクロソフト、グーグル、セールスフォース、IBMといった、世界的な時流に乗った大手の商材を取り扱っています。業界の中には、どこか1社に特化した会社もあるのですが、当社の場合は1つに特化するというよりは幅広く取り扱っています。

 ですから、「当社にご相談いただければ、どんなことでも解決できる」。そういう会社でありたいと考えていまして、いろいろなプラットフォーマーと連携していることが、当社の強みになっていると思います。

 ―― いわゆる提案型、ソリューション提案型のシステムづくりということですね。

 澤田 そうです。今まで、日本のお客様というのは、どちらかというと、自分のところ用につくってくれと。全ての服を仕立ててくれという傾向が強かったのですが、世界を見渡せば、既製服でもそれなりに良いものが沢山あるわけです。

 一番流行に敏感なのは意外とそういうところだったりするので、既製服で一番流行に敏感なところをやっていくのが、クラウドビジネスの特徴ではないかと思います。

 ―― 標準化されたものを導入するのはいいですが、自分好みの服を要望する人もいるのではないですか。

 澤田 仰る通りです。既製服ではありますが、ちょっとした自分向けのカスタマイズができる。そういうのがこれからの時代の流行になると思いますし、われわれもお客様のご要望に応じて、付加価値の高いサービスを提供していく考えです。

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人材ではなく人財

 ―― それとIT業界では深刻な人手不足が続いていますね。その辺の確保策はどのように考えていますか。

 澤田 全産業界で人手不足が起こっていると思いますが、おそらくIT業界は非常に顕著に人手不足に陥っていると思います。当社もきちんと対応しなければならないと思っているのですが、その一環で今年度(2022年3月期)、年収ベースで社員の給料を10%上げました。

 やはり、優秀なデジタル人材の確保はIT業界だけでなく、産業界で奪い合いになっています。われわれも優秀な人材を逃さずに確保するために、社員の待遇を良くしていこうと考えました。今年はどれくらい上げられるか分かりませんが、少なくとも3年で30%近くは上げたいと考えているところです。

 ―― これは岸田政権が掲げる「成長と分配の好循環」を体現しているということになりますね。

 澤田 ええ。やはり、分配できるのは成長があってこそですよね。

 われわれは優秀な技術者を必要としていますが、いわゆる自動車メーカーのような製造業とは違います。製造業とは違って、大規模な設備投資は必要ありませんが、その分、一番の財産は人です。社内では人材ではなく、”人財”と言っていますが、これからも人を財産とする経営を貫いていく考えです。

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