2022年度診療報酬改定が12月19日、事実上決着した。最大の焦点だった医師の技術料や収入にあたる本体部分はプラス0・43%となる一方、薬価が1%超の大幅マイナスとし、全体はマイナス改定となった。焦点だった本体部分の改定をめぐり、財務省はマイナス改定を主張し、厚生労働省が0・5%以上の大幅なプラス改定を求め、議論は平行線を辿った。
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鈴木俊一財務相は11月25日の経済財政諮問会議で「医療提供体制の改革なくして診療報酬改定なしの姿勢で臨む」と述べ、マイナス改定に意欲を示した。だが、最終局面の攻防で厚労省の巻き返しが奏功し、財務省にとっては想定以上のプラス幅となり「完敗に近い」(主計局)結果となった。
改定率をめぐる協議で鈴木氏以上に存在感を示したのは、麻生太郎前財務相(現自民党副総裁)だ。日本医師会の中川俊男会長が政府の新型コロナウイルス感染対策に対する批判を繰り返し、自民党と医師会の関係が悪化したのを踏まえ、財務省は「歳出改革の好機」(幹部)と判断。鈴木氏以上に自民幹部や医療業界ににらみが利く麻生氏を頼った。麻生氏も財務省の意向を念頭に周囲に「0・3%台以上にはさせない」と語るなど、「鈴木氏と麻生氏どちらが財務大臣なのかわからない」(官邸筋)といわしめる暗躍ぶりだった。
だが、最終的には来夏の参院選をにらみ、一定の集票力のある医師会に配慮して0・43%プラス改定が決定。この結果に麻生氏は「激怒」(財務省幹部)した一方、鈴木氏は「岸田首相の意向を尊重した」(同)とされた。鈴木氏と首相の近さを知らしめた形だが、財務省内では「影響力がある大臣だからこそ医療提供体制改革を進めてほしかった」と恨み節も聞かれる。
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