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苦戦続く百貨店業界 セブン&アイが『そごう・西武』の売却を検討

財界オンライン 2022年2月9日 18時0分

今後の焦点は総合スーパーの改革

 

 セブン&アイ・ホールディングスが傘下の百貨店「そごう・西武」の売却を検討していることが分かった。同社は「株式売却を含め、あらゆる可能性を排除せずに検討を行っている」とコメント。2006年にグループ入りしてから長く不振の続いた百貨店事業に、社長の井阪隆一氏が大ナタを振るう形だ。

 コロナ禍で臨時休業や営業時間の短縮を余儀なくされ、頼みのインバウンド(訪日外国人)も蒸発したことで、前期(2021年2月期)のそごう・西武は172億円の最終赤字を計上。今期(22年2月期)も45億円の営業赤字となる見通しだ。

 2016年にセブン&アイの中興の祖である前会長の鈴木敏文氏が退任してから6年弱が経った。かつて伊勢丹株取得に意欲を見せるなど、鈴木氏にとって百貨店は憧憬の対象だった。しかし、そごう・西武を傘下に入れたものの鳴かず飛ばず。グループの相乗効果を見いだせないままだった。 

 ただ、不振の本質はコロナではない。国内百貨店業界は主力だった衣料品はネット通販や新興勢力に売上高を奪われ、慢性的に市場縮小が続いている。近年、J・フロントリテイリングや髙島屋は不動産事業に活路を見出しているが、根本的な打開策を見いだせていない。

 同社は昨年7月、2013年に資本提携したインテリア・雑貨専門店「Francfranc」の株式の一部を売却している。ここにきての矢継ぎ早の事業売却は、いわば、鈴木前会長時代の膿を出すリストラにようやく着手したようにも見える。

 一方、市場では「イトーヨーカ堂創業者で名誉会長の伊藤雅俊氏への配慮もあるのだろうが、百貨店と同じように総合スーパー事業の改革は急務」(アナリスト)という声も根強い。

 昨年、同社は米コンビニエンスストア運営会社スピードウェイを約2・3兆円で買収するなど、海外コンビニを今後の成長戦略に位置づける。国内外のコンビニ事業に経営資源を集中させ、グループの全体像を変えようという井阪流改革。今後の結果いかんによっては、井阪氏に「もっと思い切った改革」を迫る声が高まるのは必至だ。

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