岸田文雄首相が表明した3カ月ごとに企業が経営状況を開示する「四半期開示」の見直しが波紋を広げている。
鈴木俊一財務相は1月28日の記者会見で、論点整理に向けた報告書を今春までに取りまとめる考えを表明した。だが、情報開示に消極的だと受け取られれば投資家離れを招きかねない。早くも政府・与党内から「『新しい資本主義』をアピールしたいだけだ。見直すメリットが分からない」(閣僚経験者)など冷ややかな声が出ている。
鈴木氏は会見で、四半期開示に関し「経済界からも中長期的な企業価値が重視される中、企業の短期的な利益志向を助長するとして、見直すべきとの意見がある」と説明した。「企業は短期的利益よりも長期的な成長を重視し、株主だけではなく従業員などさまざまなステークホルダーが恩恵を受けられる経営が重要」とも語った。
四半期開示は上場企業の透明性確保のために導入されたものの、企業にとっては負担が大きいとの意見は確かにある。一方、海外では米トランプ前大統領が見直しに言及したが、欧州では企業が任意で開示しており議論は立ち消えになった。企業の最新の経営成績や業績見通しは投資判断を左右するためで、投資家が資金を引き揚げれば結果的に企業の国際競争力を削ぎ、経済の失速につながりかねない。
自民党内では「経団連寄りの経済産業省が入れ知恵したのだろうが、世界の潮流と逆行している」(閣僚経験者)など、見直しに懐疑的な声が少なくない。夏の参院選の争点にはなりにくいものの、首相が対応を誤れば金融市場の失望を招き、政権運営に響く可能性はある。
一方、世界トップレベルを目指す大学を支援する10兆円規模のファンドをめぐり、財務省の財政投融資分科会がファンドの運用に財投資金を投じるのは抑制すべきとの意見を公表した点について、鈴木氏は25日、「市場運用にあたってはモニタリングを含め適切に運用を行い、国民への説明責任を果たすことが重要だ」と述べ、制度設計に問題はないとの認識を示した。
【財務省】大臣が「放漫財政」に警鐘 ”掛け声倒れ”の懸念も
鈴木俊一財務相は1月28日の記者会見で、論点整理に向けた報告書を今春までに取りまとめる考えを表明した。だが、情報開示に消極的だと受け取られれば投資家離れを招きかねない。早くも政府・与党内から「『新しい資本主義』をアピールしたいだけだ。見直すメリットが分からない」(閣僚経験者)など冷ややかな声が出ている。
鈴木氏は会見で、四半期開示に関し「経済界からも中長期的な企業価値が重視される中、企業の短期的な利益志向を助長するとして、見直すべきとの意見がある」と説明した。「企業は短期的利益よりも長期的な成長を重視し、株主だけではなく従業員などさまざまなステークホルダーが恩恵を受けられる経営が重要」とも語った。
四半期開示は上場企業の透明性確保のために導入されたものの、企業にとっては負担が大きいとの意見は確かにある。一方、海外では米トランプ前大統領が見直しに言及したが、欧州では企業が任意で開示しており議論は立ち消えになった。企業の最新の経営成績や業績見通しは投資判断を左右するためで、投資家が資金を引き揚げれば結果的に企業の国際競争力を削ぎ、経済の失速につながりかねない。
自民党内では「経団連寄りの経済産業省が入れ知恵したのだろうが、世界の潮流と逆行している」(閣僚経験者)など、見直しに懐疑的な声が少なくない。夏の参院選の争点にはなりにくいものの、首相が対応を誤れば金融市場の失望を招き、政権運営に響く可能性はある。
一方、世界トップレベルを目指す大学を支援する10兆円規模のファンドをめぐり、財務省の財政投融資分科会がファンドの運用に財投資金を投じるのは抑制すべきとの意見を公表した点について、鈴木氏は25日、「市場運用にあたってはモニタリングを含め適切に運用を行い、国民への説明責任を果たすことが重要だ」と述べ、制度設計に問題はないとの認識を示した。
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