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【金融庁】生保の「あおり営業」抑止を狙った新監督指針が波紋

財界オンライン 2022年2月18日 11時30分

金融庁が昨年末に改正した生命保険の営業手法に関する新たな監督指針が業界に波紋を広げている。

 生保の営業職員が顧客に保険商品の購入を勧める際、年金や健康保険など公的保険制度について、適切に情報提供するように求めるのが柱。老後の生活不安を殊更に強調し、個人年金保険の購入や医療保険への加入を迫る「煽り営業」を根絶する狙いだ。

 生保業界では「多大なコストと手間がかかる」などと悲鳴が上がり、大手生保のある首脳は「公的保険制度を説明するのは国の仕事。我々に責任を押し付けるのは筋違いだ」と反発。だが、金融庁は「モニタリングを強化し、営業職員の説明が不十分なら是正を促す」(監督局幹部)と強硬姿勢で、各社は販売戦略の見直しを迫られそうだ。

 金融庁が今回、監督指針の改正に踏み切った背景には、歩合制の営業職員が自らの販売成績を上げようと、高齢者など顧客の不安を煽って必要のない保険に入らせる『過剰契約』が横行していることがある。「業界の構造的な問題だ」(監督局筋)。

 新指針は民間保険を「公的保険を補完する」ものと明記し、営業職員が公的保障の仕組みを十分に理解する必要があると指摘。その上で生保各社に「適切な理解を確保するための十分な教育」を行うように求めた。

 もっとも、少子高齢化が加速し、社会保障制度の土台が揺らいでいるのも事実。実際、公的年金の受給開始年齢が引き上げられたことに伴い、退職後の生活資金に不安を感じている人は多い。不安の根底にある社会保障制度に対する不信の解消にも取り組む努力も求められる。


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