「何も手を打たなければ荷物が運べないという状況が起きかねない」と語るのはヤマトホールディングス(HD)関係者。同社は日本航空(JAL)と連携し、貨物専用機の運航を始める。
どうなる? 2022年の物流業界 長尾裕・ヤマトホールディングス社長に直撃!
24年から積載量10トンのトラック5~6台分に当たる荷物を運べる小型貨物機を3機導入し、羽田・成田空港と新千歳・北九州・那覇空港の間でヤマト運輸の「宅急便」を運ぶ。
ヤマトHDが危機感を募らせるのは「2024年問題」が控えているからだ。働き方改革関連法が24年4月から運送業にも適用され、トラックドライバーの年間残業時間の上限が960時間に。これが影響を及ぼすのが首都圏と九州や北海道などを結ぶ長距離輸送。「途中でドライバーを交代させる」(同)といった対応が求められるからだ。
そこを飛行機に置き換えるのだが、貨物専用線の運航はJALにとっても〝渡りに船〟だ。かつて同社は日本で初めて貨物機の運航を始めたが、荷物を集めきれず、自社保有でコストがかさんで苦労した過去がある。
結果、同社は10年に経営破綻の際、貨物専用機を売却。貨物専用機は「過度なボラティリティーに依存した冒険主義的投資」(幹部)と位置付け、その後は専用機を持たず、旅客機の貨物室を使った輸送に特化した。
しかし今回はヤマトHDが機材をリースで調達し、ネット通販や宅配の荷物を集める。運航はJAL傘下のジェットスター・ジャパンとするため、JALにとっては大きなリスクを抱えることなく11機の貨物専用機を保有して先行するANAHDを追尾できる契機となる。
物流会社が貨物専用機を運航する事例はあった。佐川急便を擁するSGHDがギャラクシーエアラインズを設立して航空貨物事業を手掛けたが、荷物を集めきれず運航停止に追い込まれた。それに対し、ヤマトHDの関係者は「(貨物専用機の保有は)事業ではない」と強調する。
社会インフラになりつつある「宅急便」。ヤマトHDの取り組みが物流業界の底上げにつながるかは同社の手腕次第だ。
どうなる? 2022年の物流業界 長尾裕・ヤマトホールディングス社長に直撃!
24年から積載量10トンのトラック5~6台分に当たる荷物を運べる小型貨物機を3機導入し、羽田・成田空港と新千歳・北九州・那覇空港の間でヤマト運輸の「宅急便」を運ぶ。
ヤマトHDが危機感を募らせるのは「2024年問題」が控えているからだ。働き方改革関連法が24年4月から運送業にも適用され、トラックドライバーの年間残業時間の上限が960時間に。これが影響を及ぼすのが首都圏と九州や北海道などを結ぶ長距離輸送。「途中でドライバーを交代させる」(同)といった対応が求められるからだ。
そこを飛行機に置き換えるのだが、貨物専用線の運航はJALにとっても〝渡りに船〟だ。かつて同社は日本で初めて貨物機の運航を始めたが、荷物を集めきれず、自社保有でコストがかさんで苦労した過去がある。
結果、同社は10年に経営破綻の際、貨物専用機を売却。貨物専用機は「過度なボラティリティーに依存した冒険主義的投資」(幹部)と位置付け、その後は専用機を持たず、旅客機の貨物室を使った輸送に特化した。
しかし今回はヤマトHDが機材をリースで調達し、ネット通販や宅配の荷物を集める。運航はJAL傘下のジェットスター・ジャパンとするため、JALにとっては大きなリスクを抱えることなく11機の貨物専用機を保有して先行するANAHDを追尾できる契機となる。
物流会社が貨物専用機を運航する事例はあった。佐川急便を擁するSGHDがギャラクシーエアラインズを設立して航空貨物事業を手掛けたが、荷物を集めきれず運航停止に追い込まれた。それに対し、ヤマトHDの関係者は「(貨物専用機の保有は)事業ではない」と強調する。
社会インフラになりつつある「宅急便」。ヤマトHDの取り組みが物流業界の底上げにつながるかは同社の手腕次第だ。