経営の混乱が続く東芝。アナリストからは「計画がコロコロ変わっては市場の理解は得られない」、ある社員からは「従業員はどうなるのか。経営陣は株主の顔色ばかりを伺っているように見えてむなしい」などといった声も聞こえてくる――。
「コングロマリットディスカウント(事業の多角化で企業価値が目減りすること)を解消し、持続的で利益ある成長を果すためにスピンオフ(分離・独立)が最適であると判断した」と語るのは、東芝社長の綱川智氏。
昨年11月に会社を3分割することを決めた東芝が再編案を見直し、わずか3カ月で2分割にする案を発表。”物言う株主”の反発を受けて、撤回した。
従来は、インフラサービスとデバイスを切り出して3分割する計画だったが、シンガポールの資産運用会社3Dインベストメント・パートナーズなどの”物言う株主”が企業価値向上につながらないとして反対を表明していた。このため、デバイスのみを分離させ、インフラは東芝本体に残す2分割へと計画を修正。分割にかかるコストが削減できることや迅速な意思決定を図ることが狙いだ。
「3分割ではなく、2分割のスキームが株主をはじめとするステークホルダーにとりまして最適であると結論づけた」(同)
また、東芝は空調子会社「東芝キヤリア」の株式の大半を米キヤリアに約1千億円で譲渡。この他、エレベーターや照明子会社2社を2022年度中に売却する方針で、今後2年間で約3千億円を株主還元に回すことも決めた。
東芝は従来、約1千億円としていた株主還元を3倍にすることで、株主の理解を得たい考え。さらに今回、POSレジ(販売時点情報管理)を手掛ける東芝テックを非注力事業に位置付けたことから、東芝テックの売却も時間の問題となりそうだ。
子会社の売却で、事業の切り売りを続ける東芝だが、肝心の成長戦略が見えてこないのが最大の問題。当面、東芝は3月末に臨時株主総会を開催し、会社分割の支持を得たい考えだが、株主がどう判断するかは未知数。物言う株主に頼り、物言う株主に振り回されるという構図はしばらく変わりそうにない。
グループ再編も一区切り 日立の東原会長がCEO退任へ
「コングロマリットディスカウント(事業の多角化で企業価値が目減りすること)を解消し、持続的で利益ある成長を果すためにスピンオフ(分離・独立)が最適であると判断した」と語るのは、東芝社長の綱川智氏。
昨年11月に会社を3分割することを決めた東芝が再編案を見直し、わずか3カ月で2分割にする案を発表。”物言う株主”の反発を受けて、撤回した。
従来は、インフラサービスとデバイスを切り出して3分割する計画だったが、シンガポールの資産運用会社3Dインベストメント・パートナーズなどの”物言う株主”が企業価値向上につながらないとして反対を表明していた。このため、デバイスのみを分離させ、インフラは東芝本体に残す2分割へと計画を修正。分割にかかるコストが削減できることや迅速な意思決定を図ることが狙いだ。
「3分割ではなく、2分割のスキームが株主をはじめとするステークホルダーにとりまして最適であると結論づけた」(同)
また、東芝は空調子会社「東芝キヤリア」の株式の大半を米キヤリアに約1千億円で譲渡。この他、エレベーターや照明子会社2社を2022年度中に売却する方針で、今後2年間で約3千億円を株主還元に回すことも決めた。
東芝は従来、約1千億円としていた株主還元を3倍にすることで、株主の理解を得たい考え。さらに今回、POSレジ(販売時点情報管理)を手掛ける東芝テックを非注力事業に位置付けたことから、東芝テックの売却も時間の問題となりそうだ。
子会社の売却で、事業の切り売りを続ける東芝だが、肝心の成長戦略が見えてこないのが最大の問題。当面、東芝は3月末に臨時株主総会を開催し、会社分割の支持を得たい考えだが、株主がどう判断するかは未知数。物言う株主に頼り、物言う株主に振り回されるという構図はしばらく変わりそうにない。
グループ再編も一区切り 日立の東原会長がCEO退任へ