フィットネスクラブは健康になる場所
―― コロナ禍のオンラインの普及によって、個人の生き方・働き方が大きく変わりましたね。
斎藤 コロナ禍で気づいたことは、クラブの再定義です。これは教訓と言っていいかもしれませんが、われわれ一番人数が多いのが、フィットネスクラブです。そして、インドアのテニススクール、インドアのスイミングスクールと、大きく分けて、この3種類を陣容としてやっています。
緊急事態宣言下での臨時休業が終わって、数カ月して、ちょっとコロナが落ち着いてくると、会員さんも徐々に戻ってきたのですが、その中で、テニスやスイミングのスクールは95%ぐらいの会員さんが戻ってきました。しかし、フィットネスクラブは75%前後の戻りだったんです。
―― これはどう解釈すればいいんですか。
斎藤 われわれもコロナが無かったら気づかなかったと思うんですが、テニススクールやスイミングスクールは、コーチが10人から10数人の人たちにご指導申し上げているわけです。
毎週同じ曜日の同じ時間帯に会員さんがやってきて、同じコーチから習うわけですね。そうなると、一緒に習っている10数人の会員さん同士で仲間意識が出てきて、自然とコミュニティができるんです。
―― 地域のコミュニティスクールだと。
斎藤 フィットネスクラブというのは、自分のペースで走ったり、自転車を漕いだり、筋力トレーニングをしたりするのが普通なので、あまり会話せず、一人で黙々とトレーニングする方が多いんです。シニアの奥様方は割と会話もあったりするんですけど、それでも多くの方は、必ずしも仲間意識を持つというところまでいっていません。
ですから、フィットネスクラブと言いながら、フィットネスセンターだったわけです。それでわれわれ、はたと気づきましてね。全部ではないけど、スクールシステムを取り入れてみようという実験を始めたんです。
【倉本聰:富良野風話】東京オリンピック
フィットネスクラブにスクール制を導入
―― なるほど。フィットネスクラブにスクール制を。
斎藤 今まではクラブのスタジオでストレッチやヨガ、エアロビクスなどを(コロナ禍の今は人数制限しておりますが)、30~70人くらいの会員さんたちが一緒にやっていたわけですね。もちろん、その中で顔見知りになる方はいらっしゃると思いますが、必ずしも皆の顔や名前を知っているわけではありません。ですから、仲間意識もそんなに多くなかったと思うんです。
そういうことで、昨年6月から実験的に少人数のスクール制を取り入れました。すると、われわれの想像よりも、はるかに大勢の人たちがそこに参加するようになりました。
―― 少人数というのは何人くらいですか。
斎藤 基本は8人1チームです。初心者は3カ月くらいは4人制にして、基本をしっかり教えてから、次のステップから8人制に移行するわけです。
ここでは、スクール開始前にホワイトボードにインストラクターと会員さんの名前かニックネームを書いておくんです。そうすると、多くても8人ですから、週1回だとしても、月に4回も顔を合わせれば、だいたいお互いのことを覚えるようになりますよね。そうやってコミュニティができてくるんです。
これまでのテニススクールやスイミングスクールのように、1人のコーチが10数人の会員さんを教えるというのは、日本だけのスタイルです。欧米では一対一とか、1人のコーチが2~3人の会員さんにコーチをするというのが普通です。
インストラクターというのは、命令する人ではなく、導く人なんです。ですから、ゆるいリーダーとでも言うのかな、そういう人の周りに人が集まって、コミュニケーションを起こしていく。そうやってお互いが親しくなり、名前を覚えるようになると、今度は会員さんからインストラクターに質問をしやすくなるし、声をかけやすくなる。
考えてみれば、昔はシニアのサロンと言えば病院だったわけですよ。ところが、今はフィットネスクラブがサロンになっている。病院は病気になってから行く場所ですが、フィットネスクラブは健康になる場所。コロナ禍でわれわれは、そのことを再認識しました。
【倉本聰:富良野風話】スポーツの祭典
―― コロナ禍のオンラインの普及によって、個人の生き方・働き方が大きく変わりましたね。
斎藤 コロナ禍で気づいたことは、クラブの再定義です。これは教訓と言っていいかもしれませんが、われわれ一番人数が多いのが、フィットネスクラブです。そして、インドアのテニススクール、インドアのスイミングスクールと、大きく分けて、この3種類を陣容としてやっています。
緊急事態宣言下での臨時休業が終わって、数カ月して、ちょっとコロナが落ち着いてくると、会員さんも徐々に戻ってきたのですが、その中で、テニスやスイミングのスクールは95%ぐらいの会員さんが戻ってきました。しかし、フィットネスクラブは75%前後の戻りだったんです。
―― これはどう解釈すればいいんですか。
斎藤 われわれもコロナが無かったら気づかなかったと思うんですが、テニススクールやスイミングスクールは、コーチが10人から10数人の人たちにご指導申し上げているわけです。
毎週同じ曜日の同じ時間帯に会員さんがやってきて、同じコーチから習うわけですね。そうなると、一緒に習っている10数人の会員さん同士で仲間意識が出てきて、自然とコミュニティができるんです。
―― 地域のコミュニティスクールだと。
斎藤 フィットネスクラブというのは、自分のペースで走ったり、自転車を漕いだり、筋力トレーニングをしたりするのが普通なので、あまり会話せず、一人で黙々とトレーニングする方が多いんです。シニアの奥様方は割と会話もあったりするんですけど、それでも多くの方は、必ずしも仲間意識を持つというところまでいっていません。
ですから、フィットネスクラブと言いながら、フィットネスセンターだったわけです。それでわれわれ、はたと気づきましてね。全部ではないけど、スクールシステムを取り入れてみようという実験を始めたんです。
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フィットネスクラブにスクール制を導入
―― なるほど。フィットネスクラブにスクール制を。
斎藤 今まではクラブのスタジオでストレッチやヨガ、エアロビクスなどを(コロナ禍の今は人数制限しておりますが)、30~70人くらいの会員さんたちが一緒にやっていたわけですね。もちろん、その中で顔見知りになる方はいらっしゃると思いますが、必ずしも皆の顔や名前を知っているわけではありません。ですから、仲間意識もそんなに多くなかったと思うんです。
そういうことで、昨年6月から実験的に少人数のスクール制を取り入れました。すると、われわれの想像よりも、はるかに大勢の人たちがそこに参加するようになりました。
―― 少人数というのは何人くらいですか。
斎藤 基本は8人1チームです。初心者は3カ月くらいは4人制にして、基本をしっかり教えてから、次のステップから8人制に移行するわけです。
ここでは、スクール開始前にホワイトボードにインストラクターと会員さんの名前かニックネームを書いておくんです。そうすると、多くても8人ですから、週1回だとしても、月に4回も顔を合わせれば、だいたいお互いのことを覚えるようになりますよね。そうやってコミュニティができてくるんです。
これまでのテニススクールやスイミングスクールのように、1人のコーチが10数人の会員さんを教えるというのは、日本だけのスタイルです。欧米では一対一とか、1人のコーチが2~3人の会員さんにコーチをするというのが普通です。
インストラクターというのは、命令する人ではなく、導く人なんです。ですから、ゆるいリーダーとでも言うのかな、そういう人の周りに人が集まって、コミュニケーションを起こしていく。そうやってお互いが親しくなり、名前を覚えるようになると、今度は会員さんからインストラクターに質問をしやすくなるし、声をかけやすくなる。
考えてみれば、昔はシニアのサロンと言えば病院だったわけですよ。ところが、今はフィットネスクラブがサロンになっている。病院は病気になってから行く場所ですが、フィットネスクラブは健康になる場所。コロナ禍でわれわれは、そのことを再認識しました。
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