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【農林水産省】農産物の輸出額が過去最高 一方、5兆円の目標は遠く

財界オンライン 2022年3月4日 11時30分

農林水産省が発表した2021年の農林水産物・食品の輸出額は20年比25・6%増の1兆2385億円に拡大し、過去最高を更新した。新型コロナウイルスの影響が和らいだ米国や中国の消費回復が寄与。政府が06年に打ち出した「年間輸出額1兆円」という大台を初めて突破したが、25年に2兆円、30年に5兆円に引き上げる目標の達成は容易ではない。

 品目別の内訳は、加工食品など農産物は22・8%増の8043億円に上った。けん引役はウイスキーなどの酒類や和牛を始めとした牛肉だ。中国などで高級品が人気だったウイスキーは70・2%増の461億円、和食ブームを背景にインターネット通販での販売が伸びた日本酒は66・4%増の401億円と過去最高を記録した。家庭向けにカットした商品が米国で好評だった牛肉は85・9%増の536億円だった。

 国・地域別の輸出額は、香港を抜いて初めてトップに躍り出た中国が35・2%増の2224億円。次いで香港が6%増の2190億円、米国が41・2%増の1683億円だった。

 日本ではこれまで余った農産物などを輸出に回す傾向が強かった。しかし、生産者の意識変革を迫らないと、20年に2兆円、30年に5兆円とした目標達成は難しいまま。このため政府は、海外の消費者ニーズを捉えた商品を大量生産する「輸出産地」の育成を全国各地で取り組んでいる。

 また、海外の食品規制に対応した施設整備を金融・税制面で後押しするほか、生産者と輸出事業者らが連携して行う販路開拓の取り組みへの支援も強化する方針だ。金子原二郎農水相は「官民一体となった取り組みを進め、輸出拡大を図りたい」と話している。

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