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”物言う株主”に翻弄される《東芝》 新社長に島田常務が昇格

財界オンライン 2022年3月9日 15時0分

経営陣刷新で株主の理解は得られるか?

 

「臨時総会に先立って経営陣を変更することが重要。今回の経営陣変更をもって、株主が賛成する可能性もあることを考えながらこのような提案に至った」

 東芝の社外取締役で指名委員会委員長のレイモンド・ゼイジ氏はこう語る。

 東芝は3月1日付で、執行役上席常務の島田太郎氏が社長CEO(最高経営責任者)に、東芝エレベータ社長の柳瀬悟郎氏が副社長COO(最高執行責任者)に昇格する人事を発表。島田氏と柳瀬氏の2人体制で東芝の再建を図ることになった。

 会社を3分割することを決めながら、3カ月で再編案を見直し、2分割にする案を掲げる東芝。3月24日に臨時株主総会を開催し、株主からの賛同を求める計画だが、今も”物言う株主”などから反発を受けており、経営陣の刷新により、株主の理解を得たいと考えたようだ。

 島田氏は新明和工業で約10年航空機の設計に携わった後、アメリカのソフトウェア企業や、その会社を買収したシーメンスを経て、2018年に東芝入社。デジタル事業の責任者として、デジタル変革に従事してきた。

 島田氏は「東芝には宝物のように沢山の技術や優れた人が存在している。これらのポテンシャルを活かし、今までにないサービスを提供できる会社へ変貌させていく。全てのステークホルダーの意見を真摯に受け止め、全てのオプションを検討し、実行していく」と語る。

 当面は会社を2分割し、子会社の売却で、事業の切り売りを続ける東芝だが、問題は肝心の成長戦略が見えてこないこと。

 会社は改めて誰のためにあるのか。物言う株主に振り回される構図は変わりそうになく、新体制となってもしばらくは苦難の道が続きそうだ。

【日本のガバナンスを問う】上村達男・早稲田大学名誉教授

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