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『日本最大の小売業』イオン社長を直撃! 小売業が健康づくりにかかわる時代に

財界オンライン 2022年3月11日 7時0分

環境変化をどのように事業機会に変えていくか

 ―― 65歳以上の高齢者が約30%と、日本の高齢化は世界で一番進んでいることで知られています。そうした中、近年は「高齢者のフレイル(加齢による虚弱化)予防」という言葉がキーワードに挙げられていますが、イオンとしては超高齢社会の到来に向けて、どのようなスタンスで臨んでいく考えですか。

 吉田 フレイル予防というのは、確実に訪れる超高齢社会に向き合い、より良い社会にしていくため、当社が何をなすべきかという視点で捉えるべきテーマだと思っています。

 昨年4月から5カ年の中期経営計画をスタートさせたんですが、今回の計画を策定するにあたっては、コロナ禍を含めて、われわれを取り巻く社会環境、事業環境の急速な変化への対応を重要視しました。その中で、今回のテーマでいえば、健康ニーズの高まりや地方創生の加速という環境変化が大きいと思います。

 ―― 具体的にどんな変化になりますか。

 吉田 今回のコロナ禍において、日常の免疫力を高めるための食習慣へのシフトや、いわゆる都市依存から郊外へのシフトという変化が起こっています。こうした健康ニーズの高まり、もっと言えば、治療や予防に加えて未病を含めたウエルネスニーズにいかに対応していくかは非常に大事なことです。

 また、地方創生の加速という点においても、われわれは以前からリージョナルシフト、地域に密着した経営を進めてきました。こうした環境変化をどのように事業機会に変えていくかが重要だと思っているんですね。

 そうした環境認識から生まれた成長戦略を、中期経営計画では「五つの変革」ということで五つの柱を立てました。このうちの二つが「新たな時代に対応したヘルス&ウエルネスの進化」と「イオン生活圏の創造」というテーマになります。

ルネサンス会長・斎藤敏一の「フィットネスを通じて地域にコミュニティを!」



 ―― この二つが5カ年計画の中にもしっかり入っているわけですね。

 吉田 はい。一つ目の「ヘルス&ウエルネスの進化」につきましては、非常に多様化する未病領域を含む新たな健康ニーズへどう対応していくかということ。もう一つが、お客さまを起点にしてこの健康ニーズを理解すること。われわれの事業の壁を取っ払って横断し、グループでどう提案していくかということだと思っています。

 もう一つの「イオン生活圏の創造」では、われわれグループで、様々な業態の店舗網を展開しております。ここにデジタルを組み合わせまして、それぞれの地域に根差した固有の生活圏を構築していくことが大事であろうと。それによって、地域社会に貢献していきたいと思っています。今回のこの5カ年の中期経営計画を推し進めることで、持続的成長を実現するための事業基盤を確立させていきたいと思っています。

 われわれが10年後の2030年にありたい姿としては、イオンの地域での成長が地域の豊かさに結びついていく。こうした循環型で、かつ持続可能な経営を実現させていければと思っています。

続きは本誌で

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