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【国土交通省】大阪府・市が進めるIR誘致 巨額な公費負担に賛否の声

財界オンライン 2022年3月18日 11時30分

大阪府と大阪市が大阪湾の人口島「夢洲」への誘致を目指しているカジノを含む統合型リゾート(IR)を巡り、市の巨額の公費負担が注目を集めている。松井一郎市長を支える地域政党「大阪維新の会」が最大会派の市議会では、自民党がこの問題を追及するが、同党国会議員からは戸惑いの声も挙がっている。

 大阪府・市は昨年12月に誘致計画案を公表。これによると、運営事業者は米MGMリゾーツ・インターナショナルとオリックスの2社連合で、初期投資額は約1兆800億円。年間の想定来場者数は国内1400万人、海外600万人の計2000万人で、経済効果は1兆1400億円を見込んでいる。

 誘致計画案では、夢洲の土壌改良費として市が約790億円もの費用を支出することも判明。ボーリング調査により現場の一部で、大地震の際に液状化する恐れがあることが分かったほか、基準値を超えるヒ素も検出されたためだという。費用は市の特別会計から捻出する。

 これを問題視する自民党大阪市議団は2月、計画の是非を問う住民投票を実施するための条例案を提出。大阪維新の会、公明党の反対で否決されたが、3月末までの議会の審議で自民党大阪市議団は市に説明を求める構えだ。

 一方、国政レベルでは、自民党はIR事業を進めてきた立場だ。IRに詳しいある同党国会議員は「横浜が撤退した後、残った候補地の中で『都市型』のIRを実現できるのは大阪だけだ」と事業全体の中で大阪が誘致することの重要性を説く。

 この議員は「地元の意向を尊重すべきで、維新に一矢報いたいのは分かる」としつつ、「万が一、大阪が撤退となれば、IR事業の本来の目的がかなわなくなってしまう」と複雑な心境をのぞかせていた。

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