2万7000円近辺の「下値支持線」を下回る
今、日米の株式市場は下落を続けています。世界同時株安と言っていい状況ですが、その要因は第1にFRB(米連邦準備制度理事会)による金融引き締め、利上げへの懸念、第2にロシアのウクライナ侵攻です。この2つの大きな株安材料が今、株価に織り込まれようとしています。こうなると、時間でどのくらい調整し、値段でどのくらい下げるかという読みになってきます。
【あわせて読みたい】2022年、日米の株価はどう動くのか?菅下清廣氏に聞く
日経平均で見ると、今回の株高の出発点は2020年3月19日のコロナショックの安値、1万6358円でした。そこからちょうど1年上げて、
21年2月16日に3万714円という高値、一番天井を付けました。12ないし13カ月というのが日柄です。
高値を付けた後、短いサイクルでは「3月またがり60日」で4月、5月には短期の調整が終わり、その後横ばいか調整というのが波動ですが、実際に5月13日に2万7385円という安値を付け、日柄調整に入りました。
波動では、この調整は半年程度であることが多いのですが、これも実際に8月20日の2万6954円で底入れしました。
その後、株価は上昇して9月14日に3万795円の二番天井を付けました。二番天井を付けた後は下がるというのが相場ですから、その後下落し、22年1月5日に2万9388円で戻り高値を付けて、「買い方」は力尽きた形になり、横ばいから下落に移行しました。2月24日にはウクライナ危機を織り込んで2万5775円という安値を付けています。
21年12月3日の2万7658円、21年8月20日の2万6954円という2万7000円近辺が「下値支持線」でしたが、ここを下回ってくると総崩れになってきます。
また、2万6000円近辺というのが、コロナショックの安値から一番天井までの上げ幅の3分の1押しですが、この水準で下げ止まらなければ、さらにこの後、半値押しの2万3500円まで下落するというのが株価の波動です。
この半値押しで止まらなかった場合には、日経平均の2万円割れも現実味を帯びてきます。マザーズ市場はすでに下値支持線を完全に下回って、コロナショックの安値に向かって下落中です。これがもし、先行指標となるなら、日経平均もさらに下落するということになりますが。
現在の株式市場は非常に厳しい展開で、以前から私は昨年11月にFRBがテーパリングを始めたところから、株式投資をしている投資家に対して、「休むも相場」で現金比率を高めることを指摘してきましたが、まさにその通りの展開になっています。
前述のように、戻り高値が22年1月5日でしたから、「3月またがり60日」で、目先3月5日までに、遅くとも3月いっぱいくらいでFRBショック、ウクライナショックを織り込んで、下落トレンドが終わる可能性があります。これは下げ過ぎの反動高ということになります。
次に、株価が上昇してくる時には、昨年11月以来売られているマザーズ市場の銘柄が上がってくる可能性があります。まさに「バーゲンセール」状態でしたが、ウクライナ危機がそこにダメ押しをした形です。
しかし早ければ2月いっぱい、遅くとも3月いっぱいでマザーズ銘柄は底入れし、4月からは反転上昇してくるものと予想しています。今後の上昇相場のテーマとしてはDX、デジタル関連ですが、中でも業績見通しのいい成長株から戻ってきます。
一方、米国のナスダック市場は見事な天井形成になっています。なので、これを先行指標としてニューヨークダウも下落していくことになり、両者とも当面、下落調整局面が続きます。
目先、ナスダックの1万3000ポイント割れ、ニューヨークダウの3万ドル割れがあれば、底入れするだろうと見ます。底入れすれば、ナスダックもニューヨークダウも戻ります。そして年後半には戻り高値、歴史的な高値を付けて、米国の株式市場は当面のピーク(天井)を迎えることになると予測しています。その後、米国株式市場は長きにわたる日柄調整に入るというのが相場の波動です。
その間、日本の株価は次第に上昇してきます。日本では年末までにオミクロン株の蔓延がピークアウトして、企業業績が回復することで、22年10月以降、株価の反転上昇が期待されます。
世界のマネーの動きを見ると、米国株はすでに天井形成圏、欧州株はウクライナ危機で当分、浮上は見込めず、リスクマネーは入ってこないでしょう。
そうなると、世界のマネーは地理的にウクライナから遠いアジアに向かってきます。中でも日本は以前から指摘しているように、世界の先進国が軒並み歴史的高値を付けているのに、過去最高値を更新できていませんから、まだ上昇余地があります。ですから、マネーの日本株への流入は22年後半から23年にかけて、顕著になってくると見ています。
中国はどうかというと、3月から中国人民銀行などが、 現金の預け入れや引き出しが1回あたり5万元(約90万円)を超える場合には、お金の出どころや使い道を登録するよう市中銀行に義務付けます。これではリスクマネーは入ってきません。
三菱UFJモルガン・スタンレー証券景気循環研究所長の嶋中雄二氏の景気循環の見通しでいうと日本は、24年、25年には短期・中期・長期・超長期の4つの景気の波が上昇期に入る「ゴールデンサークル」に入ります。そこに向かって、日本の株価は4万円突破もあり得ます。
ウクライナ危機のようなビッグリスクが起きた時には、それがいつまでに、どのくらいで織り込むかを見ることが大事です。ただ、地政学リスクは今後、さらに高まることが予想されます。もし今回、ロシアがウクライナを支配下に置いた場合、それを見た中国が台湾に侵攻する恐れが高まるからです。このことは日本及び世界の株式市場にとって、大きなリスクとなります。
まさに天下大乱の時代が訪れようとしています。
今、日米の株式市場は下落を続けています。世界同時株安と言っていい状況ですが、その要因は第1にFRB(米連邦準備制度理事会)による金融引き締め、利上げへの懸念、第2にロシアのウクライナ侵攻です。この2つの大きな株安材料が今、株価に織り込まれようとしています。こうなると、時間でどのくらい調整し、値段でどのくらい下げるかという読みになってきます。
【あわせて読みたい】2022年、日米の株価はどう動くのか?菅下清廣氏に聞く
日経平均で見ると、今回の株高の出発点は2020年3月19日のコロナショックの安値、1万6358円でした。そこからちょうど1年上げて、
21年2月16日に3万714円という高値、一番天井を付けました。12ないし13カ月というのが日柄です。
高値を付けた後、短いサイクルでは「3月またがり60日」で4月、5月には短期の調整が終わり、その後横ばいか調整というのが波動ですが、実際に5月13日に2万7385円という安値を付け、日柄調整に入りました。
波動では、この調整は半年程度であることが多いのですが、これも実際に8月20日の2万6954円で底入れしました。
その後、株価は上昇して9月14日に3万795円の二番天井を付けました。二番天井を付けた後は下がるというのが相場ですから、その後下落し、22年1月5日に2万9388円で戻り高値を付けて、「買い方」は力尽きた形になり、横ばいから下落に移行しました。2月24日にはウクライナ危機を織り込んで2万5775円という安値を付けています。
21年12月3日の2万7658円、21年8月20日の2万6954円という2万7000円近辺が「下値支持線」でしたが、ここを下回ってくると総崩れになってきます。
また、2万6000円近辺というのが、コロナショックの安値から一番天井までの上げ幅の3分の1押しですが、この水準で下げ止まらなければ、さらにこの後、半値押しの2万3500円まで下落するというのが株価の波動です。
この半値押しで止まらなかった場合には、日経平均の2万円割れも現実味を帯びてきます。マザーズ市場はすでに下値支持線を完全に下回って、コロナショックの安値に向かって下落中です。これがもし、先行指標となるなら、日経平均もさらに下落するということになりますが。
現在の株式市場は非常に厳しい展開で、以前から私は昨年11月にFRBがテーパリングを始めたところから、株式投資をしている投資家に対して、「休むも相場」で現金比率を高めることを指摘してきましたが、まさにその通りの展開になっています。
前述のように、戻り高値が22年1月5日でしたから、「3月またがり60日」で、目先3月5日までに、遅くとも3月いっぱいくらいでFRBショック、ウクライナショックを織り込んで、下落トレンドが終わる可能性があります。これは下げ過ぎの反動高ということになります。
次に、株価が上昇してくる時には、昨年11月以来売られているマザーズ市場の銘柄が上がってくる可能性があります。まさに「バーゲンセール」状態でしたが、ウクライナ危機がそこにダメ押しをした形です。
しかし早ければ2月いっぱい、遅くとも3月いっぱいでマザーズ銘柄は底入れし、4月からは反転上昇してくるものと予想しています。今後の上昇相場のテーマとしてはDX、デジタル関連ですが、中でも業績見通しのいい成長株から戻ってきます。
一方、米国のナスダック市場は見事な天井形成になっています。なので、これを先行指標としてニューヨークダウも下落していくことになり、両者とも当面、下落調整局面が続きます。
目先、ナスダックの1万3000ポイント割れ、ニューヨークダウの3万ドル割れがあれば、底入れするだろうと見ます。底入れすれば、ナスダックもニューヨークダウも戻ります。そして年後半には戻り高値、歴史的な高値を付けて、米国の株式市場は当面のピーク(天井)を迎えることになると予測しています。その後、米国株式市場は長きにわたる日柄調整に入るというのが相場の波動です。
その間、日本の株価は次第に上昇してきます。日本では年末までにオミクロン株の蔓延がピークアウトして、企業業績が回復することで、22年10月以降、株価の反転上昇が期待されます。
世界のマネーの動きを見ると、米国株はすでに天井形成圏、欧州株はウクライナ危機で当分、浮上は見込めず、リスクマネーは入ってこないでしょう。
そうなると、世界のマネーは地理的にウクライナから遠いアジアに向かってきます。中でも日本は以前から指摘しているように、世界の先進国が軒並み歴史的高値を付けているのに、過去最高値を更新できていませんから、まだ上昇余地があります。ですから、マネーの日本株への流入は22年後半から23年にかけて、顕著になってくると見ています。
中国はどうかというと、3月から中国人民銀行などが、 現金の預け入れや引き出しが1回あたり5万元(約90万円)を超える場合には、お金の出どころや使い道を登録するよう市中銀行に義務付けます。これではリスクマネーは入ってきません。
三菱UFJモルガン・スタンレー証券景気循環研究所長の嶋中雄二氏の景気循環の見通しでいうと日本は、24年、25年には短期・中期・長期・超長期の4つの景気の波が上昇期に入る「ゴールデンサークル」に入ります。そこに向かって、日本の株価は4万円突破もあり得ます。
ウクライナ危機のようなビッグリスクが起きた時には、それがいつまでに、どのくらいで織り込むかを見ることが大事です。ただ、地政学リスクは今後、さらに高まることが予想されます。もし今回、ロシアがウクライナを支配下に置いた場合、それを見た中国が台湾に侵攻する恐れが高まるからです。このことは日本及び世界の株式市場にとって、大きなリスクとなります。
まさに天下大乱の時代が訪れようとしています。