デジタルトランスフォーメーション(DX)が流行語になっています。その流行に乗ってデジタル化を進めている企業は多いでしょう。しかし、DXの肝は「デジタル化して何をするのか? 」になります。つまり、「DXで進化する」という根っこを間違えてはいけません。
改革に完成形なし。AI、DX時代のリーダーの責任とは?【私の雑記帳】
コロナ禍でデジタル化が一気に加速しましたが、コロナ以前からデジタル化という進化は止められませんでした。したがって、ここで変われるかどうかが、その企業の行く末を分けることになります。それは大企業であっても中小・零細企業であっても同じです。「今年はやめておこう」と先送りの癖が身につくと手遅れになってしまいます。
私はこれまで大企業からスタートアップ企業に至るまで様々な業種にわたって企業のDXをお手伝いしてきました。詳細は『DXスタートアップ革命』(日本経済新聞出版刊)に掲載していますが、コロナ禍でも成長を巡航速度から一気に加速した企業がたくさんあります。
例えば、介護のスタートアップ企業ではコロナ禍を受け、営業担当者がお客様のご自宅を訪問することができなくなってしまいました。そこで非接触で営業ができるようにデジタル端末を導入し、オンラインでの営業に切り替えたのです。すると、交通費などのコストが下がった上に1日当たりの訪問数も増え、営業の効率が飛躍的に高まりました。DXに舵を切るというトップの決断があったからです。
大企業でもDXを着々と進め、種をまき始めている企業はあります。その1社がJR東日本です。同社は社内ベンチャーキャピタルであるJR東日本スタートアップを設立。異質なベンチャー企業のテクノロジーと鉄道や駅、商業施設などリアルなインフラを持つJR東日本の資産を掛け合わせて新たな事業を育てています。
興味深いのはJR東日本スタートアップが〝出島〟であること。JR東日本の本体ではなかなか実現しないこともあるだろうと考え、本体と切り離したことで自由度が高まったのです。会社設立から4年が経ち、延べ923件のベンチャー企業との実証実験を実施。そのうち40以上が事業として動いています。
中でも有名なのが金融機関や公共システム向けシステム開発事業を展開しているサインポストと合弁で展開している無人決済店舗です。駅売店で働く人手不足が大きな課題になっていた中で、ベンチャー企業との協業で無人店舗を実現。高輪ゲートウェイ駅の売店「キヨスク」から導入し、今ではファミリーマートの出資を受けて全国1000店舗による展開を目指しています。
〝出島〟をつくる取り組みは宇宙航空研究開発機構(JAXA)も行っています。JAXAは宇宙航空分野の基礎研究から開発・利用に関する取り組みが主でしたが、日本発の優れた技術や知見、食文化を最大限に活用して宇宙と地球の共通課題である「食」の課題解決を目指すプログラムを行うため、新たに一般社団法人を設立しました。
JR東日本もJAXAも首脳陣が自らの置かれた環境に対して危機感を持ち、既成の価値観が覆る今を変わる契機として捉え、今日より明日を見据えた取り組みに乗り出しているところが共通点です。したがって、DXは組織のトップの熱量が全てを左右することになるのです。
もちろん、DXを絡めた新しいビジネスモデルの構築には時間もかかれば、金銭的な痛みも伴うこともあるでしょう。しかし、その痛みを乗り越えた先にこそ〝成功〟があるのです。
改革に完成形なし。AI、DX時代のリーダーの責任とは?【私の雑記帳】
コロナ禍でデジタル化が一気に加速しましたが、コロナ以前からデジタル化という進化は止められませんでした。したがって、ここで変われるかどうかが、その企業の行く末を分けることになります。それは大企業であっても中小・零細企業であっても同じです。「今年はやめておこう」と先送りの癖が身につくと手遅れになってしまいます。
私はこれまで大企業からスタートアップ企業に至るまで様々な業種にわたって企業のDXをお手伝いしてきました。詳細は『DXスタートアップ革命』(日本経済新聞出版刊)に掲載していますが、コロナ禍でも成長を巡航速度から一気に加速した企業がたくさんあります。
例えば、介護のスタートアップ企業ではコロナ禍を受け、営業担当者がお客様のご自宅を訪問することができなくなってしまいました。そこで非接触で営業ができるようにデジタル端末を導入し、オンラインでの営業に切り替えたのです。すると、交通費などのコストが下がった上に1日当たりの訪問数も増え、営業の効率が飛躍的に高まりました。DXに舵を切るというトップの決断があったからです。
大企業でもDXを着々と進め、種をまき始めている企業はあります。その1社がJR東日本です。同社は社内ベンチャーキャピタルであるJR東日本スタートアップを設立。異質なベンチャー企業のテクノロジーと鉄道や駅、商業施設などリアルなインフラを持つJR東日本の資産を掛け合わせて新たな事業を育てています。
興味深いのはJR東日本スタートアップが〝出島〟であること。JR東日本の本体ではなかなか実現しないこともあるだろうと考え、本体と切り離したことで自由度が高まったのです。会社設立から4年が経ち、延べ923件のベンチャー企業との実証実験を実施。そのうち40以上が事業として動いています。
中でも有名なのが金融機関や公共システム向けシステム開発事業を展開しているサインポストと合弁で展開している無人決済店舗です。駅売店で働く人手不足が大きな課題になっていた中で、ベンチャー企業との協業で無人店舗を実現。高輪ゲートウェイ駅の売店「キヨスク」から導入し、今ではファミリーマートの出資を受けて全国1000店舗による展開を目指しています。
〝出島〟をつくる取り組みは宇宙航空研究開発機構(JAXA)も行っています。JAXAは宇宙航空分野の基礎研究から開発・利用に関する取り組みが主でしたが、日本発の優れた技術や知見、食文化を最大限に活用して宇宙と地球の共通課題である「食」の課題解決を目指すプログラムを行うため、新たに一般社団法人を設立しました。
JR東日本もJAXAも首脳陣が自らの置かれた環境に対して危機感を持ち、既成の価値観が覆る今を変わる契機として捉え、今日より明日を見据えた取り組みに乗り出しているところが共通点です。したがって、DXは組織のトップの熱量が全てを左右することになるのです。
もちろん、DXを絡めた新しいビジネスモデルの構築には時間もかかれば、金銭的な痛みも伴うこともあるでしょう。しかし、その痛みを乗り越えた先にこそ〝成功〟があるのです。