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【スズキ】シェアがじわりと減る中、印でEVへの一大投資

財界オンライン 2022年4月13日 15時0分

「これからのスズキの使命は、小型車でカーボンニュートラルを実現すること」─。スズキ社長の鈴木俊宏氏はこう語る。

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 同社は主力市場のインドで出遅れていた電気自動車(EV)に本腰を入れる。2025~26年の稼働を目指し、EVやEV用の車載電池を生産する工場の増強や建設に約1500億円を投じる。

 インドでの同社の生産拠点となっている西部のグジャラート州の工場の能力を増やして25年にEV生産に乗り出すほか、その隣接地には車載用電池の工場も新設する。さらにEVの収益性を上げるためにも車両の解体やリサイクルを行う工場も建設する方針を打ち出している。

「たとえインドで半数近くの販売シェアを維持していても安穏としていられない」と関係者が語るように、スズキにとっては〝焦り〟もありそうだ。ひと頃まではインドで50%以上のシェアを占めていたスズキだったが、ここにきてそれが約48%(21年3月期)と半数を割り込む状況が続く。

 要因はライバルの攻勢だ。中でもシェア2位(約23 %)につける韓国の現代自動車の躍進が目立つ。昨年5月、同社傘下の起亜がインドに参入して以来、23年ぶりに初めて平月でシェア1位を獲得している。スズキが強かった小型セダンではなく、同社が手薄だったSUV(スポーツ用多目的車)を積極投入。「インド国民の所得水準が改善し、SUVの人気も同時に高まった」(同)ことでシェアを伸ばした。

 インド市場はスズキの営業利益の3割ほどを占める重要市場。26年3月期までの中期経営計画でもシェア5割を防衛ラインとして死守する考えを示している。同時に、同計画では5年間で研究開発に1兆円を投じることを表明しており、今回はその一環。「足元ではEV販売の勢いはないが、一般層への普及はこれから」とスズキ関係者は見る。

 そのEVでも現代や地場のマヒンドラ・アンド・マヒンドラは発売を開始。ガソリン車とは逆に、今度はスズキが追いかける形となる。インドの人口は14億人を超えるが、自動車の保有比率は他国に比べて低い。それだけ新車販売が伸びる余地は多い。EVでもスズキが「国民車」としての立ち位置を築けるか。今後5年間が勝負となる。

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