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【国土交通省】公示地価がコロナ禍でも反転 マンション高騰に警戒感も

財界オンライン 2022年4月27日 11時30分

国土交通省が3月下旬に発表した2022年の公示地価では、新型コロナウイルスの感染拡大で経済活動が制限される中でも全国平均が2年ぶりの上昇に転じた。再開発が進む北海道など地方都市がけん引したほか、都市部の価格上昇が周辺自治体にも波及する動きが目立つ。

 背景にはリモートワークの普及をはじめとする構造的な要因があり、当面はこうした傾向が続きそうだ。地価の上昇は既にマンション価格高騰につながっており、不動産業界では警戒が広がる。

 住宅地平均価格の前年比上昇率は札幌、仙台、広島、福岡の各市を合わせた圏域「地方4市」で5・8%となり、「東京圏」の0・6%を大きく上回った。

 とりわけ、プロ野球日本ハムの新球場を軸とした街づくりが人気を集める北海道北広島市の3地域が20%超の上昇を記録し、全国のトップ3を独占。札幌市や周辺の北広島市を含む地域が上位100位の大半を占める「異例」(国交省担当者)の事態となった。

 大手住宅メーカーの幹部は、同社が札幌市内で分譲したタワーマンションの購入者は道外の人々が3割程度を占めると話し、「北海道をよく旅行で訪れる首都圏の富裕層がセカンドハウスとして購入する例が多い」と説明。別の不動産大手の担当者によると、北海道に限らず「毎日在宅で勤務する夫婦が街中心部から郊外の広い家に引っ越すケースが増えた」という。

 不動産経済研究所が集計した2021年の首都圏の新築マンション平均価格も6260万円と過去最高を更新。共働きの世帯が増えて高額なローンを組みやすくなったことに加え、コロナ禍やロシアのウクライナ侵攻に伴う世界的な物流の混乱で資材価格が高騰していることもマンション価格の上昇に拍車を掛ける。

 住宅価格の上昇は世界的な潮流となっており、韓国では若者らを中心に政治への不満が広がり3月の大統領選で政権が交代する一因となった。不動産業界団体の幹部からは「住宅が給与所得者の手に届かなくなると日本でも社会問題になる」と懸念する声が出始めた。

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