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【農林水産省】ウクライナ侵攻で影響 サンマ国際会議が延期に

財界オンライン 2022年5月17日 11時30分

サンマの資源管理策を話し合う「北太平洋漁業委員会(NPFC)」の年次会合について、日程の延期が決まった。日本や中国、台湾、ロシアなど9カ国・地域が加盟する枠組みだが、ロシアによるウクライナ侵攻を受け、現時点で開催は困難と判断した。

 関係者によると、各国・地域の政府代表が参加した3月23日の非公式会合で、一部の国が「現下の国際情勢を踏まえると実のある議論ができない」と主張。名指しこそしなかったものの、ロシアが念頭にあることは明白だ。「開催は困難」とした提案に対して異論は出ず、同月28~30日に予定されていた会合は先送りとなった。日本は早期開催に向け、各国・地域との調整を進めている。

 サンマは近年、深刻な不漁に直面している。全国さんま棒受網漁業協同組合(東京)の調べでは、21年の水揚げ量は前年比38%減の1万8291㌧にとどまり、3年連続過去最低を更新した。

 地球温暖化の進行に伴う海水温上昇を受けて沿岸に来遊するサンマが激減していることや、中国や台湾の大型漁船が大量に取っていることが原因とされる。

「補助金がなければ赤字だ」。ある漁業関係者は声を絞り出した。サンマ漁に出漁する漁船は減少傾向にあり、昨年は約130隻と30年前の4分の1の水準にとどまる。

 サンマは夏から秋にかけて、日本近海に来遊してくる。中台の漁船が、沿岸に向かう前のサンマを公海で大量に先取りしていることが近年問題になっている。NPFC年次会合が無事開催できれば、中台の漁場である公海の漁獲上限(現行は19万8千㌧)の削減なども含む規制強化に踏み切りたい考えだ。

日本の食料安全保障はどうなる? 答える人 キヤノングローバル戦略研究所・研究主幹 山下一仁

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