「現在、電炉で高級鋼をつくっている会社はない。ましてや最高級の電磁鋼板をつくるというのは世界初の試み。いきなり技術的に高いところにチャレンジして、トップランナーに躍り出る」と話すのは日本製鉄社長の橋本英二氏。
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2022年5月10日、日本製鉄は実質的にCO2排出がゼロという「カーボンニュートラル鋼」の供給を、2023年度から始めると発表した。
兵庫県の瀬戸内製鉄所広畑地区に新設した電炉で、年間70万トンの生産から始める。橋本氏の言葉にあるように、実現すれば世界初。電炉で使う電力を、CO2を排出しない「グリーン電力」にすることで、製造工程でのCO2を実質ゼロにする。
2030年、さらには2050年に向けて、さらなるカーボンニュートラル鋼の生産に向けた取り組みを進める。電炉の大型化や、高炉で使う還元剤を石炭から水素に変える、さらには100%水素還元製鉄を目指す。
ただ、橋本氏はカーボンニュートラル鋼の実現には、自社の技術開発に加え、カーボンフリーの水素、電力の供給、CCUS(二酸化炭素回収・貯留)技術の確立といった外部条件が揃うことが必要と訴える。これは国による環境整備や研究開発も同時に必要だということ。
日本製鉄は22年3月期決算で事業利益(営業利益に金融収益を加えたもの)で9381億円、純利益で6373億円と12年の経営統合後の最高益を記録。
橋本氏が社長就任以来進めてきた鋼材値上げが功を奏した形だが、足元ではウクライナ危機など外部環境は不透明な状況が続くだけに、「業績予想について合理的算定は困難」とする。
変化が激しい中、足元の事業、中長期のカーボンニュートラルに取り組む状況。解答がない中で、自ら答えを導き出すための苦心が続く。
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2030年、さらには2050年に向けて、さらなるカーボンニュートラル鋼の生産に向けた取り組みを進める。電炉の大型化や、高炉で使う還元剤を石炭から水素に変える、さらには100%水素還元製鉄を目指す。
ただ、橋本氏はカーボンニュートラル鋼の実現には、自社の技術開発に加え、カーボンフリーの水素、電力の供給、CCUS(二酸化炭素回収・貯留)技術の確立といった外部条件が揃うことが必要と訴える。これは国による環境整備や研究開発も同時に必要だということ。
日本製鉄は22年3月期決算で事業利益(営業利益に金融収益を加えたもの)で9381億円、純利益で6373億円と12年の経営統合後の最高益を記録。
橋本氏が社長就任以来進めてきた鋼材値上げが功を奏した形だが、足元ではウクライナ危機など外部環境は不透明な状況が続くだけに、「業績予想について合理的算定は困難」とする。
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