NYダウの株価がついに下落局面に?
前回、米国の株価は40年に及ぶ上昇が終わり、天井圏にあって、長期波動ではいつ下落してもおかしくない状況だと指摘しました。
【あわせて読みたい】【株価はどう動く?】技術革新を牽引する米国株の今後、そして円安で広がる格差
目処としては金利が底入れしてから約1年後には株価が天井を打つというのが40年前の金利と株価の波動です。米国の金利は2020年8月に底入れしていますから、約1年後の21年11月にナスダックはすでに天井を付けています。なので、ニューヨークダウは、いつ天井を打ってもいい状態になっていました。
しかし、前回指摘したように米国は世界のイノベーションのトップランナーで、企業は業績が伴っています。ですから波動的には天井圏でも、高値圏で頑張っている、という状況が続いてきました。
しかし、ここに来てついにNYダウも下落が始まりました。分岐点はゴールデンウィーク明け頃にあったと見ています。
短期サイクルで見ると、NYダウは21年11月8日の3万6565ドルで一番天井、22年1月5日の3万6952ドルで二番天井を付けた形になっています。その後、3万5000ドルから3万6000ドルという高値圏で頑張ってきたわけですが、ゴールデンウィーク明け頃から本格的な下落局面に入ってきました。
相場の波動には上昇、下降、横ばいの3種類がありますが、ニューヨークダウは天井を付けた後、高値圏でしばらく横ばいを続けましたが、今は下降、下落の局面に入ってきたのです。
そのきっかけは、やはりFRB(米連邦準備制度理事会)が実行した、22年ぶりの0.5%という大幅利上げです。さらに6月にも0.5%引き上げる見通しとなっていますが、これを嫌気して、高値を維持してきたNYダウも耐えきれずに下落し始めました。
株価は一旦、下落を始めると底入れするまでは戻っては売られ、売られては戻る展開となり、安値水準を切り下げていきます。その「底」はまだわかりませんが、下落に転じた一つのシグナルが、先述した短期サイクルでの一番天井、二番天井、ダブルトップの形成です。
その次に、22年のニューヨークダウの安値は2月24日の3万2272ドルでしたが、5月12日には3万1228ドルと、この水準を下回ってきました。こうなると、一旦戻る局面はあっても、また売られて、さらに安値を切り下げるという展開になると見ています。
これは短期の動きですが、中長期では今回の上昇波動の出発点は20年3月23日の1万8213ドルのコロナショックの安値です。この出発点から22年1月5日の高値、3万6952ドルまで上昇したわけですが、この上げ幅の3分の1押しは約3万ドルになります。
ですから3万ドルくらいまでは下落すると見ていますが、3万ドルを割れると半値押しなど、かなり厳しい展開になる可能性があります。
ニューヨークダウは下落局面に入りましたが、ナスダックは21年11月22日の1万6212ポイントで一番天井、12月28日の1万5901ポイントで二番天井を付けて、すでに下落局面が続いています。22年5月12日には1万1108ポイントと、3月に付けた安値を大きく下回るなど、下値を切り下げて底値模索を続けています。前述のように、頑張っていたNYダウもついに後を追う形になりました。
米国の株価が下落すると日経平均も下がるというのが通常の流れですが、5月6日は前日にニューヨークダウが大きく下げたにもかかわらず、日経平均は下落しませんでした。
その後、日経平均も下落する場面もありますが、日米の株価が「逆クロス」した可能性があります。米国の株価下落に連動して下げてきた日本の株価ですが、足元ではそれほど下げず、比較的底値がしっかりしています。米国の株価が下落局面で低迷している間に、日本の株は底入れして、6月以降、上昇する可能性があります。
チャートから見て、波動では日経平均の今年の安値は1月27日の2万6044円で一番底、3月9日の2万4681円が二番底となっています。そして5月12日の2万5688円近辺で底入れするなら三番底となって、キレイなトリブルボトム、酒田五法でいう「逆三尊」になります。
仮に「逆三尊」ならば、日経平均は、下は2万6000円割れ、上は2万8000円手前というゾーンで揉み合うことになると思います。それで日柄調整をして、6月、7月には株価が上昇する可能性が出てきています。
以上は楽観シナリオですが、もし悲観シナリオならば、米国の株価がさらに大きく下がる局面で、日経平均も、さらに下落して3月9日の安値を下回って下落する可能性もあります。
もし、私の楽観シナリオ、強気の見方の展開となるなら、日経平均がトリプルボトム、もしくはダブルボトムを形成して、5月いっぱいくらい揉み合って、6月相場入り頃から反転上昇するというシナリオが有力となります。
では、何を材料に上昇するのか? 1つは日本に為替の円安メリットが出てきていることです。円安の恩恵を受けた企業の業績がよくなっています。確かに輸入品の価格が上がるといったデメリットもあり、食料品などの値上げも相次いでいます。
ただ、輸入インフレで値上げができれば売り上げが伸びます。ある意味で、今は値上げチャンスが来ているということです。一度値上げしたら、円安が終わっても値下げはしないでしょう。日本にとって今はデフレ脱却のチャンスでもあります。
2つ目は、6月からインバウンド(訪日外国人観光客)が再開されることです。円安で海外から見たら日本は安いですから、インバウンド景気がやってくる可能性があります。
3つ目は7月の参院選です。アベノミクス相場以来、選挙は「買い」です。
以上の理由と、波動から見ても日経平均は米国株安を織り込んで、6月までに底入れして新しい上昇波動が始まりそうだというのが私の見通しです。
前回、米国の株価は40年に及ぶ上昇が終わり、天井圏にあって、長期波動ではいつ下落してもおかしくない状況だと指摘しました。
【あわせて読みたい】【株価はどう動く?】技術革新を牽引する米国株の今後、そして円安で広がる格差
目処としては金利が底入れしてから約1年後には株価が天井を打つというのが40年前の金利と株価の波動です。米国の金利は2020年8月に底入れしていますから、約1年後の21年11月にナスダックはすでに天井を付けています。なので、ニューヨークダウは、いつ天井を打ってもいい状態になっていました。
しかし、前回指摘したように米国は世界のイノベーションのトップランナーで、企業は業績が伴っています。ですから波動的には天井圏でも、高値圏で頑張っている、という状況が続いてきました。
しかし、ここに来てついにNYダウも下落が始まりました。分岐点はゴールデンウィーク明け頃にあったと見ています。
短期サイクルで見ると、NYダウは21年11月8日の3万6565ドルで一番天井、22年1月5日の3万6952ドルで二番天井を付けた形になっています。その後、3万5000ドルから3万6000ドルという高値圏で頑張ってきたわけですが、ゴールデンウィーク明け頃から本格的な下落局面に入ってきました。
相場の波動には上昇、下降、横ばいの3種類がありますが、ニューヨークダウは天井を付けた後、高値圏でしばらく横ばいを続けましたが、今は下降、下落の局面に入ってきたのです。
そのきっかけは、やはりFRB(米連邦準備制度理事会)が実行した、22年ぶりの0.5%という大幅利上げです。さらに6月にも0.5%引き上げる見通しとなっていますが、これを嫌気して、高値を維持してきたNYダウも耐えきれずに下落し始めました。
株価は一旦、下落を始めると底入れするまでは戻っては売られ、売られては戻る展開となり、安値水準を切り下げていきます。その「底」はまだわかりませんが、下落に転じた一つのシグナルが、先述した短期サイクルでの一番天井、二番天井、ダブルトップの形成です。
その次に、22年のニューヨークダウの安値は2月24日の3万2272ドルでしたが、5月12日には3万1228ドルと、この水準を下回ってきました。こうなると、一旦戻る局面はあっても、また売られて、さらに安値を切り下げるという展開になると見ています。
これは短期の動きですが、中長期では今回の上昇波動の出発点は20年3月23日の1万8213ドルのコロナショックの安値です。この出発点から22年1月5日の高値、3万6952ドルまで上昇したわけですが、この上げ幅の3分の1押しは約3万ドルになります。
ですから3万ドルくらいまでは下落すると見ていますが、3万ドルを割れると半値押しなど、かなり厳しい展開になる可能性があります。
ニューヨークダウは下落局面に入りましたが、ナスダックは21年11月22日の1万6212ポイントで一番天井、12月28日の1万5901ポイントで二番天井を付けて、すでに下落局面が続いています。22年5月12日には1万1108ポイントと、3月に付けた安値を大きく下回るなど、下値を切り下げて底値模索を続けています。前述のように、頑張っていたNYダウもついに後を追う形になりました。
米国の株価が下落すると日経平均も下がるというのが通常の流れですが、5月6日は前日にニューヨークダウが大きく下げたにもかかわらず、日経平均は下落しませんでした。
その後、日経平均も下落する場面もありますが、日米の株価が「逆クロス」した可能性があります。米国の株価下落に連動して下げてきた日本の株価ですが、足元ではそれほど下げず、比較的底値がしっかりしています。米国の株価が下落局面で低迷している間に、日本の株は底入れして、6月以降、上昇する可能性があります。
チャートから見て、波動では日経平均の今年の安値は1月27日の2万6044円で一番底、3月9日の2万4681円が二番底となっています。そして5月12日の2万5688円近辺で底入れするなら三番底となって、キレイなトリブルボトム、酒田五法でいう「逆三尊」になります。
仮に「逆三尊」ならば、日経平均は、下は2万6000円割れ、上は2万8000円手前というゾーンで揉み合うことになると思います。それで日柄調整をして、6月、7月には株価が上昇する可能性が出てきています。
以上は楽観シナリオですが、もし悲観シナリオならば、米国の株価がさらに大きく下がる局面で、日経平均も、さらに下落して3月9日の安値を下回って下落する可能性もあります。
もし、私の楽観シナリオ、強気の見方の展開となるなら、日経平均がトリプルボトム、もしくはダブルボトムを形成して、5月いっぱいくらい揉み合って、6月相場入り頃から反転上昇するというシナリオが有力となります。
では、何を材料に上昇するのか? 1つは日本に為替の円安メリットが出てきていることです。円安の恩恵を受けた企業の業績がよくなっています。確かに輸入品の価格が上がるといったデメリットもあり、食料品などの値上げも相次いでいます。
ただ、輸入インフレで値上げができれば売り上げが伸びます。ある意味で、今は値上げチャンスが来ているということです。一度値上げしたら、円安が終わっても値下げはしないでしょう。日本にとって今はデフレ脱却のチャンスでもあります。
2つ目は、6月からインバウンド(訪日外国人観光客)が再開されることです。円安で海外から見たら日本は安いですから、インバウンド景気がやってくる可能性があります。
3つ目は7月の参院選です。アベノミクス相場以来、選挙は「買い」です。
以上の理由と、波動から見ても日経平均は米国株安を織り込んで、6月までに底入れして新しい上昇波動が始まりそうだというのが私の見通しです。