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ニッチ市場で高いシェア、地味ながら高収益の日産化学

財界オンライン 2022年5月30日 11時30分

「日本企業の中でも経営陣の執行能力がトップレベル」「日本企業のCFOのお手本」─。

 決算説明会でアナリストがこう絶賛するのが、1887年創業の日産化学。

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 日産化学は化学肥料で創業。祖業の「農業化学品」事業に加え、現在、次世代ディスプレイや半導体材料などの「機能性材料」、創薬に特化してMR(医療情報提供者)を持たない医家向けの「医薬品」事業など、ニッチ市場で高いシェアを確保し、高収益を上げている。

 2022年3月期は売上高2079億円、営業利益509億円、今期も売上高2190億円、営業利益535億円を見込む。

 中堅化学メーカーで地味な存在ともいえる同社だが、「価値創造型企業」を財務目標に掲げ、営業利益率・ROE(自己資本利益率)を重視する経営を推進。21年度の営業利益率は24.5%、ROEは19.2%と計画を上回る実績を上げている。

 また、アナリストが絶賛する理由の1つでもある積極的な株主還元も実施。21年度は配当性向44.9%、株主総還元性向も75.6%。研究開発に力を入れる企業として、総合職に占める研究要員の比率も開示。人的資本経営が言われる中、先を行く対応を取っている。

 日本の化学メーカーの経営のお手本と言われるのが信越化学工業だが、景気変動の影響を受けやすい化学業界にあって、19年連続で営業利益率10%以上を確保するのは信越化学と、この日産化学だけ。リーマンショック、東日本大震災、米中貿易摩擦、コロナ禍など様々な難題が起きる中、実績を残すことで市場の信頼を獲得。現在(5月17日)、日産化学の時価総額は1兆439億円となっている。

 良い事業・技術があっても、コングロマリットディスカウントで株価の低い企業は多い。経済安保が言われる中、日本の産業・技術を守るためにも、時価総額を高める経営は重要な課題といえる。

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