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【本土復帰50年】吉本興業が沖縄でソーシャルビジネス

財界オンライン 2022年5月31日 11時30分

5月15日、本土復帰50年を迎えた沖縄。経済の自立が求められる中、『沖縄映画祭』、エンタメ分野の人材を育成する『沖縄ラフ&ピース専門学校』の開校など、沖縄発のビジネス創出に取り組んでいる吉本興業。なぜ、吉本興業は沖縄のビジネスに注力するのかーー。

14年前から沖縄で活動

「バングラデシュの貧困のように、沖縄にはソーシャルビジネスで取り組むべき多くの課題がある」─。

 こう語るのは、貧困層の自立を支援するグラミン銀行を創設し、2006年ノーベル平和賞を受賞したムハマド・ユヌス氏。

 今年5月、本土復帰50年を迎えた沖縄。だが、返還50年を経てもなお課題は多い。

 県内総生産の4割は公共事業、県民所得は全国最下位、非正規雇用率も全国で最も高いなど、経済の自立が大きな課題となっている。

 こうした中、吉本興業はユヌス氏と組んで、沖縄でソーシャルビジネスを根付かせようとしている。

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 21年10月にインキュベーション推進事業『島ぜんぶでうむさんラブ』を発表。

『日本民間公益活動連携機構(JANPIA)』の休眠預金活用事業を通じて、社会課題を解決するソーシャルビジネスを沖縄から全国に広げていこうとしている。

 吉本興業は、2011年から『あなたの町に住みますプロジェクト』を開始。全国に〝住みます芸人〟を派遣し、芸人が地元のラジオやテレビ番組に出演したり、地域の特産品開発やPRを手掛けるなど地域活性化を後押しする活動を続けている。

 沖縄においては、09年から『沖縄国際映画祭(島ぜんぶでおーきな祭)』を開催。今年14回目を迎える中、ソーシャルビジネスの育成を支援する『島ラブ祭2022』を開催、ソーシャルビジネスコンテストを実施した。

 沖縄の人々がチームを組み、ビジネスプランを発表。最後は、どのチームのプレゼンが良かったか投票も行われ、不登校や引きこもりを経験した若者たちが、互いの得意不得意を補い合いながらコーヒー販売に取り組んだ『アシタネプロジェクト』が最高賞を受賞した。

 大阪ですら、東京に比べるとビジネスイベントが限られる中、沖縄での開催は珍しく、参加者たちも、勝ち負けより、思いを全面に打ち出したプレゼンを行うなど、沖縄ならではのビジネスコンテストとなった。

 吉本興業は6000人の芸人の活躍の場として〝劇場〟を持ち、今年から〝BS放送〟も開始。沖縄映画祭、沖縄でのビジネスコンテストやソーシャルビジネス育成支援も、芸人同様、沖縄の人々が活躍する場づくり、仕組みづくりといえる。

 今後もステークホルダーを拡大しながら、時間をかけてソーシャビジネスの普及・育成に取り組んでいく方針だ。

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