農林水産相の金子原二郎氏(参院長崎)は今夏の参院選に出馬せず政界引退を決断した。7月25日の任期満了時に農水相を退任する見通し。後任に農水副大臣の武部新氏(衆院北海道12区)を推す声がある。
金子氏は昨年10月の岸田文雄内閣発足に伴い、農水相に就いた。水産業に詳しい一方、農政は門外漢だったため、就任当初は実務能力を不安視する声が省内で少なくなかった。ただ、長崎県知事を3期12年務めるなど経験の豊富さゆえ、「国会答弁も安定感があった」(省幹部)との評判。金子氏は自民党公認で長崎選挙区から立候補することが決まっていたが、世代交代が必要とし、身を引く意向を3月に表明していた。
新農水相にとっての重要課題は、ロシアによるウクライナ侵攻で脆弱(ぜいじゃく)性があらわになった日本の食料安全保障の強化に資する政策立案だ。国民が消費する食料のうち6割強を海外に依存する状況は非常に危うい。
現在、輸入に混乱はそれほど生じていないものの、戦渦により小麦や飼料、水産物などの価格高騰に加え、円安が家計を圧迫している。食料の国産化にかじを切ることが急務だ。
金子氏の後任選びは参院選後に本格化する見込み。次期農水相への呼び声がある武部氏は農林水産行政に明るい当選4回の51歳。農水副大臣として、先進7カ国(G7)農相会合に出席するなど、得意な英語を生かした外交分野での活動が目を引く。
日本は来年G7の議長国を務める。農水相はG7農相会合の議長として、食料安全保障の強化や環境負荷軽減を目指した農業の重要性の発信が求められる。議長を務めるにふさわしい人物かどうかも人選のポイントとなりそうだ。
ただ、武部氏は初当選からまだ10年経っていない中堅議員。ベテラン揃いの自民党農林族議員と渡り合えるかどうかは未知数で、大臣就任は「まだ早い」(政府関係者)との指摘もある。
【政界】安定政権か、それとも衰退を辿るのか?7月の参院選で分水嶺を迎える岸田首相
金子氏は昨年10月の岸田文雄内閣発足に伴い、農水相に就いた。水産業に詳しい一方、農政は門外漢だったため、就任当初は実務能力を不安視する声が省内で少なくなかった。ただ、長崎県知事を3期12年務めるなど経験の豊富さゆえ、「国会答弁も安定感があった」(省幹部)との評判。金子氏は自民党公認で長崎選挙区から立候補することが決まっていたが、世代交代が必要とし、身を引く意向を3月に表明していた。
新農水相にとっての重要課題は、ロシアによるウクライナ侵攻で脆弱(ぜいじゃく)性があらわになった日本の食料安全保障の強化に資する政策立案だ。国民が消費する食料のうち6割強を海外に依存する状況は非常に危うい。
現在、輸入に混乱はそれほど生じていないものの、戦渦により小麦や飼料、水産物などの価格高騰に加え、円安が家計を圧迫している。食料の国産化にかじを切ることが急務だ。
金子氏の後任選びは参院選後に本格化する見込み。次期農水相への呼び声がある武部氏は農林水産行政に明るい当選4回の51歳。農水副大臣として、先進7カ国(G7)農相会合に出席するなど、得意な英語を生かした外交分野での活動が目を引く。
日本は来年G7の議長国を務める。農水相はG7農相会合の議長として、食料安全保障の強化や環境負荷軽減を目指した農業の重要性の発信が求められる。議長を務めるにふさわしい人物かどうかも人選のポイントとなりそうだ。
ただ、武部氏は初当選からまだ10年経っていない中堅議員。ベテラン揃いの自民党農林族議員と渡り合えるかどうかは未知数で、大臣就任は「まだ早い」(政府関係者)との指摘もある。
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