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【住民との対話は200回以上】小田急の「下北線路街」が全面開業

財界オンライン 2022年6月13日 7時0分

温泉旅館、保育園、現代版の長屋、学生寮、ミニシアター、アートギャラリー……。小田急線下北沢駅周辺(東京・世田谷区)の地下化で生まれた線路跡地を利用して整備された「下北線路街」が全面開業した。

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 下北線路街は小田急線の東北沢駅―世田谷代田駅間の約1・7キロを地下化したことで生まれた地上の線路跡地を再開発して誕生した。その跡地には全13施設が開業し、総事業費は約90億円。決して大型の再開発ではないが、小田急が「支援型開発」と名付け、住民の意見を反映する再開発であることが特徴だ。

 下北沢と言えば、小劇場やライブハウスなど個性的な施設や店が並び、若者を中心に国内外から人気を集めるサブカルチャーの街。もともと土地を所有して住む地元住民の数も多い。

 当初、小田急は画一的な施設開発を想定し、容積をフルに生かしたビルを建て、財務的にリスクの少ない大手企業に入居してもらい、開業を終えたら管理部門を引き渡すと想定していた。ところが、地元住民からの反対に遭う。「複々線化では高架式で進める案が反対され、高層ビル化を懸念したり、開発の進め方にも不満が出た」(担当者)。

 その後、支援型開発を採用した担当者は反対派を含めて住民と200回以上も話し合いを重ねた。その結果、生まれたのが前述の13施設だ。また、住民から「緑を増やして欲しい」という要望を受けて広場を設置し、植栽も増やしたが、その管理に頭を悩ましていた小田急に対し、維持管理に手を挙げたのが地元住民のボランティアだった。

 4月の下北沢駅の輸送人員は前年比で17%増。全体平均の11%を上回る。「地元の方々と共に協力しながら、このエリアを成長させていくことが支援型開発の真髄」と社長の星野晃司氏は強調し、海老名や本厚木の再開発でも「支援型開発のエキスを注入していく」(同)考え。

 ターミナルの新宿では新たな街の顔を生み出す大規模な再開発を進める小田急。沿線開発では他社とは一味違った取り組みを手掛けることで、沿線人口の減少に歯止めをかける考えだ。

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