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【株価はどう動く?】米ナスダックはいつ底入れするか、日本の株価が上昇するのはなぜか?

財界オンライン 2022年6月14日 7時0分

ニューヨークダウは下落を始めたばかり
 米国の株価は以前指摘したように40年に及ぶ上昇を続けてきました。その間、金利は40年にわたって低下してきました。

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 その米国の長期金利は2020年8月に底入れし、その後上昇しています。超長期のトレンドでは、金利の上昇過程では米国の株価は天井をつけたり、大幅な調整局面を迎える可能性があるということを、これまでご説明してきましたが、その通りの展開となっています。21年11月22日にはナスダックが先行して1万6212ポイントで天井をつけました。

 40年の中で、米国株の底入れは1982年8月でしたが、金利は81年9月にピークアウトしていました。株価と金利の「時差」は約1年だったのです。

 今回も同様の展開になるのではと見ていましたが、実際20年8月に長期金利が底入れし、21年11月にナスダックが天井をつけました。ちなみにナスダックは21年9月7日に1万5403ポイントで一番天井をつけていますから、約1年です。

 11月22日には1万6212ポイントで二番天井、12月28日に1万5901ポイントで三番天井をつけ、ナスダックはトリプルトップ、酒田五法でいう三尊型で天井をつけ、本格的な下落、調整局面が続いています。

 これまではナスダックが牽引する形で米国、日本、世界の株高が続いてきましたから、ナスダックが下落している間は、他国のマーケットも下落トレンドとなっていました。

 一方、ニューヨークダウは22年1月5日に天井をつけて以降、高値圏で踏ん張っていましたが、FRB(米連邦準備制度理事会)の0.5%という利上げを見て、ついに力尽きたような形で下落を始めました。

 NYダウは21年11月8日の3万6565ドルで一番天井、22年1月5日の3万6952ドルで二番天井、2月9日の3万5824ドルが三番天井となって、ナスダックに遅れること約2カ月でトリプルトップをつけ下落トレンドが始まっています。

 最初に天井をつけたナスダックが、いつ底入れするかが、今後の日米の株式市場を占う上で重要になってきます。その一つの目処を考える必要がありますが、コロナショックの安値から3倍近く上昇するという大相場になりましたから、短くても約1年は休む可能性があります。

 酒田五法では、12ないし13カ月の休みをもってよしとするとされています。そうするとナスダックが本格的に戻ってくるのは22年の年末年始だということになります。しかも、その前にダブルボトムを形成して底入れしないと上昇してきません。

 今回のように、株価が1年で2、3倍上昇したような相場の場合、一たび天井を打つと30%から40%は下落します。すでにナスダックは1万6212ポイントから5月20日には1万1035ポイントと、約3割下落していますから、目先ここが一番底になる可能性があります。

 ただ、ナスダックの調整局面は当分続くと見ています。年末くらいまで下落、調整局面が続き、その間に二番底を形成するのではないかと見ています。

 こうした動きから見ると、NYダウはまだ下落し始めたばかりで、本格的な下落はこの後となります。ただ、NYダウはコロナショックの安値から、22年1月5日の3万6952ドルの一番天井までの上げ幅の3分の1押しが約3万ドルです。直近の安値が5月20日の3万635ドルですから、足元では3万ドル近辺で下げ止まっています。

 今後、3万ドルを割って下げ止まらないようであれば、ナスダック並みに下落する可能性がありますが、その行方はまだ、見極めるのが難しい状況です。

 結論からいえば、NYダウもナスダックも当分「おやすみ」ということになります。当面は下がっては戻り、戻っては売られという展開となり、安値を切り下げていくか、一定のゾーンで揉み合う展開が予想されます。

 そうした状況下でも、日経平均株価は、前回も指摘したように直近の安値、3月9日の2万4681円を下回っていません。2万6000円台、2万7000円台で揉み合うということになると逆三尊、トリプルボトム形成中と言えますから、日柄調整をして、早ければ6月相場入りから上昇してくる可能性が高い。

 その背景は、第1に日本を始め、世界の金融緩和は簡単には終わらないということです。日本銀行は緩和姿勢を継続していますし、引き締めに入るとしていたECB(欧州中央銀行)も、ウクライナ情勢を見ると、そう簡単にはいかないでしょう。

 私はこれまで「マネーバブル相場」で株価が上昇すると説明してきましたが、野村総合研究所研究創発センター主席研究員のリチャード・クー氏は5月のレポートの中で、6月からFRBが量的引き締めをしても、完全にマネーの過剰を回収するには3年かかると指摘しています。つまり、3年間マネーバブル相場が続くということです。

 第2に、ウクライナ戦争を受けてロシアと国境を接する欧州諸国は、その侵攻に備えて臨戦態勢に入っています。

 そうなると民生用より軍需用の生産に重点が置かれますから、民生用の物資の不足が予想されます。それを誰が供給するかといえば米国、日本です。日本でこの特需ブームが、早ければ今年後半から来年にやってきます。

 第3に、日本は「大円安時代」に突入しています。多くの人が「物価が上がって困る」と言っていますが、実はその影響は限定的と言っていいでしょう。足元の物価上昇の要因はエネルギー価格ですが、世界的なものです。一方で日本にとって円安のメリットの方が大きいのです。

 他にも訪日外国人客の復活、三菱UFJモルガン・スタンレー証券景気循環研究所長の嶋中雄二氏が指摘する「ゴールデンサイクル」が23年にも到来する可能性があること、7月の参議院議員選挙など、日本の株価が上昇する材料が揃いつつあります。

 ただ、日本の株高が実現するには、岸田政権が貯蓄から投資へ、「資産所得倍増プラン」を実行するかどうかにかかってきます。

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