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【経済産業省】「節電ポイント」上乗せに消費者、電力業界から懐疑論相次ぐ

財界オンライン 2022年7月22日 11時30分

岸田文雄政権が物価高、そして頻発する電力需給の逼迫(ひっぱく)への対策として打ち上げた「節電ポイント」拡充策に懐疑論が続出している。消費者からは「(節電で得られるポイントが)極めて少額だ」といった声が上がる他、電力業界からも「各社がそれぞれの節電プログラムを設けているのに、一律の上乗せ策を設定するのは難しい」といった声が上がる状況だ。

 参院選が佳境を迎えたある日、大手電力会社の幹部は「どうして電力会社のシステムを利用しようとするのか。上乗せがしたいならマイナポイントを使ってやればいい」と声を荒げた。大手電力が実施している節電量に応じてポイントを得られるプログラムは、各社ごとに仕組みが異なる。

 さらに、電力小売り事業の全面自由化に逆行するとの見方も出ている。前年同時期との比較でポイントを得られる仕組みの場合や、新電力がシステム構築費用の関係でポイント制度を設けていないケースもあるため、政府による上乗せが、需要家が大手電力傘下の小売りから新電力などに契約を切り替える「スイッチング」を実施する動機を奪う可能性もあるからだ。

 一方で、「節電ポイント上乗せに数千億円の予算を使うなら、100万㌔㍗クラスのLNG(液化天然ガス)火力発電所が作れる」との指摘もあった。

 さらに、参院選では、節電ポイント上乗せ案が、野党から与党への格好の批判材料となっている。立憲民主党は「選挙目当てのばらまき」と指摘。国民民主も「ポイント還元より現金還元だ」と強調する。維新は「生活が苦しいからポイントをもらおうとエアコンを消して、人の命が失われたらどうするのか」と、今夏の暑さによる需給逼迫を踏まえて批判を繰り広げた。

 電力業界からは、「需給逼迫が懸案となっている今こそ、国として原発をどう扱うべきかを選挙で真摯に議論すべきだったのに、エネルギー問題では節電ポイントに焦点が移ってしまった」(関係者)と嘆く声が漏れ聞こえている。

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