表向きは中小企業の経営リスクに備える商品を装いながら、実際には経営者の「課税逃れ」の手段に使える「節税保険」の排除に向けて、金融庁が強硬姿勢を打ち出している。
7月14日、外資系の中堅生保、マニュライフ生命保険に対し、保険業法に基づく業務改善命令を発動。業を煮やした金融庁は「一罰百戒」(監督局筋)の意味を込め、生保への初の行政処分に踏み切った。今後は国税庁との連携を一段と強化、課税逃れを目的とする保険商品の徹底的な排除を目指す構えだ。
節税保険は2010年代後半に登場した商品で、支払った保険料を会社の経費として損金算入すれば課税額を抑えられることから、中小企業経営者らの間で人気が沸騰。大手生保も含めて各社がこぞって参入し、18年頃には生保の新規契約全体の3割程度(約8千億円超)に急成長。だが、過度な節税効果を謳うなど保険の趣旨を逸脱する勧誘手法を問題視した金融庁は19年に監督指針を改定し、各社に販売自粛を要請。国税庁も保険料の損金算入ルールを大幅に見直したことを受けて、大手生保各社は販売を停止。
しかし、マニュライフを含む一部の中堅生保は規制の抜け穴を巧妙に突いた「名義変更プラン」と呼ばれる商品を投入し、節税保険として中小企業経営者に売り込んでいた。金融庁は「組織的に課税逃れを推奨した悪質な不正行為」(幹部)と認定。業務改善命令で再発防止策の策定や経営責任の明確化を求めた。
ただ、人口減少や超低金利長期化を背景に通常の保険商品が売れなくなる中、生保各社にとって、契約金額の大きい中小企業向けの保険は、業績を伸ばすための貴重なビジネス。業界では「今後も規制のスキを突いた新たな商品が開発されるだろう」(中堅生保幹部)と見られており、当局との「いたちごっこ」が続く可能性が高い。
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節税保険は2010年代後半に登場した商品で、支払った保険料を会社の経費として損金算入すれば課税額を抑えられることから、中小企業経営者らの間で人気が沸騰。大手生保も含めて各社がこぞって参入し、18年頃には生保の新規契約全体の3割程度(約8千億円超)に急成長。だが、過度な節税効果を謳うなど保険の趣旨を逸脱する勧誘手法を問題視した金融庁は19年に監督指針を改定し、各社に販売自粛を要請。国税庁も保険料の損金算入ルールを大幅に見直したことを受けて、大手生保各社は販売を停止。
しかし、マニュライフを含む一部の中堅生保は規制の抜け穴を巧妙に突いた「名義変更プラン」と呼ばれる商品を投入し、節税保険として中小企業経営者に売り込んでいた。金融庁は「組織的に課税逃れを推奨した悪質な不正行為」(幹部)と認定。業務改善命令で再発防止策の策定や経営責任の明確化を求めた。
ただ、人口減少や超低金利長期化を背景に通常の保険商品が売れなくなる中、生保各社にとって、契約金額の大きい中小企業向けの保険は、業績を伸ばすための貴重なビジネス。業界では「今後も規制のスキを突いた新たな商品が開発されるだろう」(中堅生保幹部)と見られており、当局との「いたちごっこ」が続く可能性が高い。
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