鉄道運賃制度の見直しを議論してきた国土交通省の有識者小委員会が7月下旬、中間報告をまとめた。鉄道会社と沿線自治体が合意すれば、国が認可する上限を超えて値上げできるようにすることが柱。人口減少や自動車の普及を受けて多くのローカル鉄道の採算が悪化しており、値上げしやすくすることで存続を後押しするのが狙いだ。
新型コロナウイルスの感染拡大で打撃を受けた鉄道各社にとって、採算が合わないローカル鉄道の路線維持は大きな負担になっている。
今年に入り、JR西日本とJR東日本が相次いで赤字路線の収支状況を公表。国交省も複数の有識者会議を立ち上げて提言を取りまとめるなど、対策に関する議論が活発になっている。斉藤鉄夫国交相も、小委員会の報告について「早急に検討を進め、順次実現を図っていきたい」と力を込める。
小委員会の報告は、値上げと値下げを組み合わせて全体で増収にならない運賃改定については、一定の条件で柔軟に認める制度の検討を要請。安全対策や脱炭素化などに関する投資を運賃に転嫁しやすくする制度変更も求めた。
値下げと値上げの組み合わせは、混雑時と閑散時の料金に差を付ける「時間帯別運賃」のような活用法を想定。このため混雑が少ない地方の利用者にとっては、値下げより負担増につながりやすい内容と言える。
値上げには利用者の反発が予想され、自治体との協議は難航する公算が大きい。ただ、現在は国鉄が民営化された1980年代に比べると道路整備や自動車の普及が進み、ローカル鉄道の必要性が各地で低下しているのも事実だ。
あるJR労組関係者は「ローカル鉄道の存続について話し合う会議にマイカーでやってくる地元関係者もいる。そこは多少やせ我慢してでも鉄道を使ってほしい」とぼやく。
値上げが加速すれば、結果として「鉄道離れ」を招き、さらに利用者が減少する悪循環につながる可能性もありそうだ。
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小委員会の報告は、値上げと値下げを組み合わせて全体で増収にならない運賃改定については、一定の条件で柔軟に認める制度の検討を要請。安全対策や脱炭素化などに関する投資を運賃に転嫁しやすくする制度変更も求めた。
値下げと値上げの組み合わせは、混雑時と閑散時の料金に差を付ける「時間帯別運賃」のような活用法を想定。このため混雑が少ない地方の利用者にとっては、値下げより負担増につながりやすい内容と言える。
値上げには利用者の反発が予想され、自治体との協議は難航する公算が大きい。ただ、現在は国鉄が民営化された1980年代に比べると道路整備や自動車の普及が進み、ローカル鉄道の必要性が各地で低下しているのも事実だ。
あるJR労組関係者は「ローカル鉄道の存続について話し合う会議にマイカーでやってくる地元関係者もいる。そこは多少やせ我慢してでも鉄道を使ってほしい」とぼやく。
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