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【株価はどう動く?】9月のFOMCが株価の分岐点、日本は円安を追い風にできるか

財界オンライン 2022年9月27日 18時0分

ジャクソンホールが株式市場の期待を打ち砕く  2022年6月中旬から月末にかけて、米国の株価が当面の底入れをし、7月から8月中旬頃まで金融引き締めをしているにもかかわらず株価が上昇する「逆金融相場」がありました。そこでハイテク株の株価も上昇したのです。

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 その後、8月26日の「ジャクソンホール会議」でFRB(米連邦準備制度理事会)議長のジェローム・パウエル氏による、強い金融引き締めへのメッセージが出て、そこで逆金融相場が終わりました。

 それ以前、一部では「9月以降、米国の金利上昇は鈍化する」、「金融緩和が早めに始まるのではないか」という期待もありましたが、パウエル氏はジャクソンホールでのたった8分間の演説で打ち砕いたのです。

 ジャクソンホールを境に、金融引き締めで企業業績が悪化し、株価が下落する「逆業績相場」が始まりました。景気悪化を懸念し、それを織り込む株安トレンドがやってきているのです。 

 ですから日経平均株価も、8月17日の2万9222円が当面の戻り高値となりました。ここまでは非常に強い動きで、今年3月と6月の2万8000円台のダブルトップを突破しました。 

 そのまま逆金融相場が続いていれば3万円に迫るところでしたが、ジャクソンホールで株高期待が打ち破られましたから、日米ともに8月中旬が戻り高値となったのです。 

ここからは、どこまで株価が下げるかという読みになります。日経平均で言えば、逆金融相場の出発点が6月20日の安値、2万5520円でした。ここで当面の底を入れて、8月17日まで「3月またがり60日」上昇したのです。この間、3702円上昇しました。 

 この半値押しが目先の攻防の分岐点になりますが、これが2万7371円、約2万7000円です。9月上旬には、逆金融相場で上げた分の半値押しくらいの水準まで下落しました。 

 半値押しくらいの水準に、7月20日に付けた「窓」(相場の一気の上げ、または下げにより、前日終値と翌日始値が重ならないでできた空間)が空いています。これ以降、日米の株価は上昇したわけです。 

 株式市場では逆金融相場が終わり、逆業績相場が始まっています。逆金融相場の半値押し水準まで下落した後、次の上昇相場まで日柄整理に入るのか、半値押しを下回って、出発点の2万5000円台まで下落するのかという分かれ目になります。

調整する場合は約1カ月、9月20日頃まで底値圏での揉み合いが続くでしょう。そしてこの9月20日が日米の株価の転換点となりそうです。なぜなら、この9月20日、21日にFOMC(米連邦公開市場委員会)が行われるからです。 

 ここで再びの金利引き上げが予想されています。これまでのように0.75%引き上げられれば、株価はダメ押しの下げが入って、日経平均も2万7000円を割り込む可能性があります(実際に、FOMCで0.75%の利上げを決定)。 

 ただ、米金利はピークアウトする可能性もあります。ここで金融引き締めを嫌気して、目先の底を入れることが望ましいのですが、9月20日までの株価の動き次第です。 

 一方、ニューヨークダウ、ナスダックは、逆金融相場で上昇した分の半値押し以上下落しました。ですからどちらも9月20日に向けて、さらに下落し、底値模索の展開が続くのではないかと見ています。 

 ナスダックは6月16日の出発点は1万565ポイント、逆金融相場の戻り高値は8月16日の1万3181ポイントで、半値押しは1万1800ポイントでしたから、この水準を下回って下落しています。 

 いずれにせよ、日米の株価は当面下落トレンドです。前述のジャクソンホール会議以降、金融引き締めが続くことが明らかになったことを嫌気しています。この流れが続くと来年、米国の長期金利は4%、あるいは5%を付ける可能性もあります。 

 そうなると円安が続きます。140円を突破し、9月上旬には1週間で5円の円安となるなど相場の投機的動きによってテンポを早めています。 

 以前も指摘しましたが、1998年8月の安値、147円に接近する動きになっています。この水準で止まらなければ、変動相場制の出発点である200円台に向かって円安が続くことになります。日本銀行が金融緩和を継続、欧米の中央銀行が引き締めに動いていますから、当分円安相場が続きます。 

 一方、米国株は今年1月5日に40年ぶりに高値を付けた後に下落し、一番底を模索している状況です。一番底が入るまでは上がっては売られを繰り返して、次第に安値を切り下げていくことになります。 

 6月17日に付けた直近の安値2万9653ドル近辺、つまり、3万ドル割れくらいで当面の底入れをしない場合はコロナショックの安値、1万8591ドルに向けて下落するという、かなり厳しい展開になります。 

 そうなると日本の株も下がりますが、そこはむしろ絶好の買いチャンスになる可能性があります。連れ安といっても日本の株が下がる理由がないからです。 

 米国は景気が良すぎることもあってインフレになっており、FRBはそれを押さえて、むしろ不況にしようとしているわけです。日本は日銀などが好況にしようと政策を打っています。 

 しかも、日本では「悪い円安」として報じられていますが、円安は日本経済にとって追い風です。30年続いたデフレを終わらせる可能性がありますし、輸出企業のみならず、海外で事業展開をしている企業はドルで利益を得ることができます。ドル建て資産を多く保有する生損保など機関投資家の株が人気なのも、そのためです。 

 個人投資家にもドル資産を持つ動きが広がっています。新生銀行の外貨定期預金が6割増というのは、その表れです。ここで岸田政権が「貯蓄から資産形成へ」の流れを本格化できるかが問われます。 

 ただ、米国の金融引き締めで世界経済は景気後退に陥る可能性があり、それによる株価下落もあり得ますから、リスクとして捉えていく必要があります。

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