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【続く円安への対処】1ドル=147円が攻防の分水嶺 最後に問われる〝日本の国力〟

財界オンライン 2022年9月28日 7時0分

日銀の政策変更は 悪影響が大きく…  2022年9月初旬、為替市場では1週間で5円という急速な円安が進んだ。7日には1998年8月以来、24年ぶりの水準となる1ドル=144円を記録した。

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 その要因としては、米国と日本の金融政策が逆方向に向いていることが、まず挙げられる。米国が高まるインフレを抑制するために金利引き上げ、金融引き締めに動く一方、日本では日本銀行が金融緩和の姿勢を維持しており、日米の金利差が拡大している。金利が低い円は売られ、高いドルが買われる。
 
 急速な円安を受けて、9月8日に財務省、日銀、金融庁が会合、翌9日には岸田文雄首相と日銀総裁の黒田東彦氏が会談するなど、警戒を強めている(9月22日夕には政府・日銀が円買い・ドル売り介入に踏み切った)。

 ただ微妙なのが「かつてほどではないにせよ、円安は未だに大企業にとっては連結ベースで見てもポジティブ」(みずほ証券チーフマーケットエコノミストの上野泰也氏)だということ。

 一方で上野氏は「家計は円安、資源高による商品価格の値上がりで苦しんでおり、個人消費を冷やす」とも指摘。

 企業にとっても、円安が大宗ではプラスに寄与したとしても、急激な変動は事業計画に悪影響が出ることもあって、マイナス要因となる。海外で円でモノを買う際の価格を見て「日本の国力の低下」を指摘する声も強い。

 では、日銀が政策変更、つまり金利を引き上げるとどうなるか。コロナ禍で借り入れが増えた中小企業が金利負担増加で苦境に陥る恐れがある他、変動金利で住宅ローンを借り入れている多くの個人が苦しむことになるなど悪影響が出る恐れがある。

 その意味で今は、日銀が経済への悪影響を考慮して金融政策を維持している状況。では物価高への対応をどうするかと言えば、政府が財政政策で対応する必要がある。

 政府は足元で、低所得世帯に5万円の現金給付を行う他、自治体が活用できる6000億円規模の交付金を新設。ガソリン補助金の期限も9月末から年末まで延長した。

 今後は98年8月の147円に迫るかどうかも焦点。円安以上に、物価高に焦点を当てた政府の政策が求められる局面と言える。

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