世界初の「アリセプト」に続くか?
「エーザイは大きく変わる」─。こう強調するのはCEOの内藤晴夫氏だ。同社が米バイオジェンと共同開発するアルツハイマー病治療薬「レカネマブ」が開発の最終段階にある第3相臨床試験(治験)で有効性が確認できたと発表。同病の治療の選択肢が広がると共に、同病が及ぼす社会課題の解決や影響を減らすことに寄与しそうだ。
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治験は2019年3月から米国や日本、欧州などで軽度の認知症の患者や発症の前段階の患者、合わせて約1800人を対象に行われ、2週間に1回のペースで薬を投与。その結果、投与から1年半が経過した時点で症状の悪化が27%抑えられ、有効性が確認できたという。同社は22年度中にも米国、日本、欧州で承認申請を目指す。
認知症を最優先領域と位置付けていたエーザイにとってレカネマブの上市は財務面での貢献はもちろん、社会面での貢献も大きい。薬価や投与対象などが決まっていない現段階では、同薬がブロックバスターになるかどうかは意見が分かれるが、認知症患者を介護する家族の雇用機会の喪失や就業時間の短縮などを防ぐことにつながるからだ。
エーザイのアルツハイマー病の治療薬では、今回のレカネマブとは別の抗体医薬「アデュカヌマブ」の開発を進めていたが、最終段階の治験で有効性を示す一貫したデータが示されなかったなどとして、米国などでは公的保険が適用されず、評価損の計上を余儀なくされていた。
世界初となるアルツハイマー病治療薬「アリセプト」が3000億円以上売り上げた実績を持つエーザイ。今回のレカネマブの登場まで20年以上かかったことに「忸怩たる思いだ」と語る内藤氏だが、新薬開発が話題にならない日本では朗報だ。
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