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日本企業に自己変革の力はある!政府と民間が力を合わせ、『縮小日本』からの脱出を

財界オンライン 2022年10月27日 20時0分

官民一体となって日本の潜在力を掘り起こすことはできるか

なぜ、日本は縮むのか?
「日本経済の停滞について、誰が悪いのかというような安易な議論では本質を見誤ります。例えば家計は貯蓄ばかりで消費しない。これは国内マーケットの拡大を抑えてしまっている。企業、特に大企業は収益を相当上げていますが、賃金、設備投資を増やしていない。結果として民間部門の現預金が非常に増えている」と語るのは、日本商工会議所会頭の三村明夫氏。

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 ここは国も、企業も、そして個人(家計)も、なぜ日本が混迷状況に陥っているかの本質を掴む時─という三村氏の訴えである。

 このところの急激な円安で、つい最近まで5兆ドルあった日本のGDP(国内総生産)は4兆ドル台となり、その4兆ドル(1ドル=140円換算で約560兆円)も最近は割っている。

 縮む日本─。

 1994年に日本のGDPが世界に占める比率は17%あった。今は4~5%にまで低下。米国・中国に次ぐ世界第3位の座も危うくなり、4位のドイツに抜かれそうな状況。

 一人当たりGDPではシンガポールや香港に抜かれ、最近は韓国の追い上げを受けている。

 企業もこうした状況の中で、生き抜くのに懸命。コロナ禍、ウクライナ危機で資源エネルギー価格をはじめ、原材料が高騰する中、収益を上げているが、日本の潜在成長率がゼロ%台で低迷する状況をどう見るか?

「国内における資本形成が潜在成長率に与えた寄与度は、20年間ほぼゼロです」と三村氏。

 10年前に登場したアベノミクスをどう評価するか─。

 当時、円高、電力費高騰、規制改革の遅れなどの〝6重苦〟から脱出しようと、当時の第2次安倍晋三政権は徹底した金融緩和、財政出動を行い、最後に民間の成長を促すという〝3本の矢〟戦略をとった。

 結果的に株価を上げ、日本を明るくしたということで、三村氏はアベノミクスを評価するが、同時に「一番肝心な日本の成長力を上げるところまでは、まだ至っていません」と総括する。

 そこで今、何が必要か?

「日本の停滞は、誰が悪いのかというような安易な議論では本質を見誤る」という冒頭の三村氏の意識につながる。

 個人金融資産も約2100兆に膨れ上がる(現金・預金は約1100兆円)。

 個人(家計)も消費に向けず、貯蓄に専心。これも混迷日本の中での生活防衛の一つ。先行きに自信がもてないということの現れでもある。

 こうした状況から抜け出すには、政府と民間が力を合わせて努力していかなければならない。

「そのためには、政府が方向性を出さなければならない」と三村氏は強調。


環境、価値観がガラリと変わる中で
 コロナ禍が始まって2年10カ月、ロシアのウクライナ侵攻が始まって8カ月、今は円安を巡る論議が盛んである。

「海外で食べるラーメンが一杯何千円もする」と、最近、海外を訪ねた経済人が通貨(円)の安さを嘆く。

 一方、日本を訪れる外国人は「日本の素晴らしさを以前より安く味わえる」と喜ぶ。

「円安は日本の損だ」という声に対し、「円安メリットを大いに生かす好機」という声もあがる。

 このところの企業の好業績の背景には、業績の数字を円転換で利益額が膨れ上がっているにすぎない。現にその円安メリットを賃金アップにつなげるところはまだわずかだ。

 過去の円高時に企業は海外に生産・活動拠点を設け、円高メリットを享受。今回の急激な円安で、円転換による利益拡大を招いているけれども、国全体で見ると貿易赤字の拡大という結果に終わっている。

 そして個人も輸入物価の上昇による商品価格の高騰(値上がり)で、電気料金やガソリン代の値上げに悩むのが現状。

 こうした現状を見て、三村氏は「円安効果が感じられない」と語る。そして、円安の弊害が大きいことの認識を共有すべきと強調。


潜在力引き上げへ
 日本の潜在力を引き上げるには、何より中小企業の生産性アップが不可欠。

 ところが、〝失われた20年〟などと言われるのも、とりわけ、中小企業の生産性向上が無かったことに起因する。

 大企業と中小企業の間での取引価格について、「円安でメリットを享受した企業は国内に利益を還元しているのか。実際には、賃金や取引価格は引き上げられず、国内での設備投資も少なかったのではないでしょうか」と三村氏は現状に疑問を呈する。

 日商会頭を3期9年務めてきた三村氏。この間、〝下請けGメン〟を120名から240名に増やし、公正な取引を図る上で優越的地位の乱用が無いかどうかを調べてきた。大企業も変革への意識改革が求められている。

 あるべき姿に向けて、「経営者には覚悟が求められている」との三村氏の認識。

 金利正常化(引き上げ)もいずれは必要なこと。

「自らを新しい時代に合わせて自己変革することなしには生き残っていけない。私が皆さんに訴えたいことは『変化への挑戦』です」という三村氏の訴えである。

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