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『三菱電機』品質不正問題は柵山前会長の関与も明らかに

財界オンライン 2022年11月3日 18時0分

「経営者としての本気度が足りず、現場が抱える課題や悩みを拾い上げることができなかった」。10月20日、三菱電機の漆間啓社長は会見でこう陳謝した。 

 同社の品質不正問題について外部専門家からなる調査委員会がまとめた報告書によると、不正は累計197件。そのうち意図的な不正が112件を占め、62件で管理職の関与があった。 

 また、不正は国内に22ある製造拠点の約8割に当たる17拠点で行われていた。「性能に問題がなければ手続きは軽視してもよい」と正当化する風潮があったとされ、誤った認識が会社全体に及んでいたことが改めて浮き彫りになった。 

 品質不正問題を受けて2021年10月に退任した柵山正樹前会長が、約30年前の課長時代からタービン発電機の試験の不正に関わっていたことも判明。柵山氏は今回「シニアアドバイザー」の職を辞任することになった。加えて同社は現旧の役員10人の追加処分も決定し、処分対象は累計22人に達した。 

 事態の深刻さを最も感じさせたのは、調査委発足が21年7月だったにもかかわらず、一部拠点では今年8月まで不正が行われていたことだ。関与した従業員は「昔から続けていたため、自分の一存でやめられなかった」などと説明したという。 

 一連の経緯は三菱電機の内向きの社風を強く印象付ける。漆間社長は「信頼回復に向けた改革を進めていく」と強調したが、染み付いた体質を変えることは容易でない。 

 経営や現場の混乱に伴ってモノ作りの力が弱まる可能性も懸念される。三菱グループでは三菱自動車がリコール隠しや燃費不正でブランドを毀損。三菱重工業は小型ジェット旅客機「三菱スペースジェット(旧MRJ)」の開発凍結を余儀なくされるなど苦闘が続く。〝三菱ブランド〟のモノ作りへの信頼が揺らいでいるとは言い過ぎだろうか。 

 もっとも、三菱電機で指摘された風通しの悪さは、どの大企業にも大なり小なり通底する問題であり、各社は他人事とせずに自らを顧みる機会にすることが必要だ。

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