「海外で地熱エネルギー関連企業に出資するのは初めて。将来的にエネルギー業界のゲームチェンジャーとなる可能性を秘めており、期待している」と語るのは、中部電力グローバル事業本部部長の杉森克之氏。
中部電力(林欣吾社長)がカナダの地熱技術開発企業エバー・テクノロジーズ(以下、エバー社)に出資する。同社は17年にカナダで設立され、世界に先駆けて「クローズドループ地熱利用技術」を研究・開発しているスタートアップ企業。出資額は数十億円。英BPや米シェブロンなどの石油メジャーも出資している。
同技術は、地上と地下約数千㍍をつなぐ網目状のループを掘削し、その中で水を循環させることで水を介して地下の熱を取り出す地熱利用技術。 地下の熱水や蒸気が十分に得られない地域でも効率的に熱を取り出すことが可能で、24年度の商用運転を目指しているという。
「今までの地熱は掘ってみて地下に熱水や蒸気が無いということもありえたが、このクローズドループ地熱利用技術がうまくいけば、掘削の失敗が無いということになる」(杉森氏)
中部電力は現在、グループ会社が岐阜・高山で奥飛騨温泉の地熱資源を利用した地熱発電所を建設中。同社はエバー社への出資を通じて、海外で地熱に関する知見やノウハウを獲得し、将来的に国内にも同技術を展開したい考えだ。
火山国の日本は地熱に恵まれており、米国やインドネシアに次ぐ世界3位のポテンシャルを持つとされる。
地熱発電は太陽光や風力と違って、時間帯や気象条件に左右されることがない。ただ、開発に適した場所の多くが国立公園や温泉地域であることから、開発に規制があったり、地元の同意が得られにくい。
日本の電源構成のうち、地熱発電が占める割合は0・2%程度で、普及がほとんど進んでいない。ウクライナ危機でエネルギー不足が顕在化する中にあって、「地熱発電の利活用をもっと進めるべき」(エネルギー業界関係者)という声は大きい。
国内で新たな地熱発電所を開発するのは、まだまだ時間がかかるが、その間に、先行する海外で知見を得ることで将来的な国内での開発に生かそうとする中部電力である。
【著者に聞く】『エネルギーの地政学』 日本エネルギー経済研究所 専務理事・小山 堅
中部電力(林欣吾社長)がカナダの地熱技術開発企業エバー・テクノロジーズ(以下、エバー社)に出資する。同社は17年にカナダで設立され、世界に先駆けて「クローズドループ地熱利用技術」を研究・開発しているスタートアップ企業。出資額は数十億円。英BPや米シェブロンなどの石油メジャーも出資している。
同技術は、地上と地下約数千㍍をつなぐ網目状のループを掘削し、その中で水を循環させることで水を介して地下の熱を取り出す地熱利用技術。 地下の熱水や蒸気が十分に得られない地域でも効率的に熱を取り出すことが可能で、24年度の商用運転を目指しているという。
「今までの地熱は掘ってみて地下に熱水や蒸気が無いということもありえたが、このクローズドループ地熱利用技術がうまくいけば、掘削の失敗が無いということになる」(杉森氏)
中部電力は現在、グループ会社が岐阜・高山で奥飛騨温泉の地熱資源を利用した地熱発電所を建設中。同社はエバー社への出資を通じて、海外で地熱に関する知見やノウハウを獲得し、将来的に国内にも同技術を展開したい考えだ。
火山国の日本は地熱に恵まれており、米国やインドネシアに次ぐ世界3位のポテンシャルを持つとされる。
地熱発電は太陽光や風力と違って、時間帯や気象条件に左右されることがない。ただ、開発に適した場所の多くが国立公園や温泉地域であることから、開発に規制があったり、地元の同意が得られにくい。
日本の電源構成のうち、地熱発電が占める割合は0・2%程度で、普及がほとんど進んでいない。ウクライナ危機でエネルギー不足が顕在化する中にあって、「地熱発電の利活用をもっと進めるべき」(エネルギー業界関係者)という声は大きい。
国内で新たな地熱発電所を開発するのは、まだまだ時間がかかるが、その間に、先行する海外で知見を得ることで将来的な国内での開発に生かそうとする中部電力である。
【著者に聞く】『エネルギーの地政学』 日本エネルギー経済研究所 専務理事・小山 堅