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大手電力9社が赤字 相次ぎ規制料金の値上げ検討

財界オンライン 2022年12月7日 18時0分

大手電力10社の2022年9月中間連結決算では、四国電力を除く9社が純損益で赤字を計上した。石炭や液化天然ガス(LNG)などの燃料高に加え、歴史的な円安が経営を直撃。各社は、家庭向け規制料金の値上げで経営環境の悪化に対応する方針だが、大幅な人件費削減には警戒感が広がる。

 中間決算では、純損益で過去最大の赤字を計上する社が相次いだ。赤字幅は東北電力が1363億円、中国電力が560億円、中部電力が426億円、沖縄電力が168億円だった。

 23年3月期の通期業績見通しも、未公表の東京電力ホールディングス(HD)と九州電力を除く8社が最終赤字を予想。うち中部電力、北陸電力、中国電力、沖縄電力の4社が過去最大の赤字となる見込みだ。

 決算会見では、「過去に類を見ない未曾有の事態だ」(沖縄電力の本永浩之社長)、「大変重く受け止めている。燃料高は改善の見込みが立てづらい」(北陸電力の松田光司社長)など、厳しい声が続出した。

 各社が赤字幅を拡大した背景には、「燃料費調整制度(燃調)」がある。燃料価格の上昇を一定上限まで利用者に転嫁できる制度だが、想定以上の高騰で上限額の超過分を自己負担する状況が続く。燃調は主に家庭向け規制料金で設けられているため、各社は規制料金の見直しに動く。東北電力、東京電力、北陸電力、中国電力、四国電力、沖縄電力の6社が検討を開始した。

 規制料金改定は国の認可が必要だ。審査期間は申請してから4カ月程度とされ、人件費、燃料費、施設修繕費などあらゆる営業費の効率化も求められる。ただ、電力大手幹部からは、「社員の意欲低下や優秀な人材の流出につながる可能性があるので人件費の削減だけは避けたい」との声も漏れる。

 一方、西村康稔経済産業相は各社の表明を受け、「厳格に審査を行う。安易に値上げを行うことにはならない」と述べており、決着が注目される。

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