2025年の年金制度改革に向け、社会保障審議会年金部会での議論がスタートした。同部会の開催は約3年ぶりで、少子高齢化により給付水準の低下が懸念される基礎年金の制度見直しが大きな焦点だ。
厚生労働省は24年末までに改革案をまとめる方針で、年金局のある幹部は「年金財政は年々厳しさが増している。次期改定では確実に成果を出す必要がある」と意気込む。
少子高齢化により、満額で月約6万5千円の基礎年金は給付水準低下が見込まれ、高齢者の暮らしへの影響が懸念される。そのため、基礎年金の財源となる国民年金保険料の納付期間延長や、会社員や公務員が加入する厚生年金からの財源投入といった方策の具体化を進める方針。
具体的には国民年金保険料の納付期間を現行の40年間から5年延長。20歳から始まる納付は「60歳到達時まで」から「65歳到達時まで」と変更する。さらに厚生年金や国庫から財源を拠出することで、マクロ経済スライドによる基礎年金の給付抑制策の終了時期を当初想定の46年度より前倒しし、目減り期間の短縮を図る。
このほか、厚生年金の適用拡大も大きなテーマだ。企業規模101人以上では一定の条件を満たす短時間労働者の加入が義務付けられており、24年10月に51人以上の企業も対象となる。次期改正ではこうした企業要件を撤廃した上で、対象業種を飲食店や宿泊業に拡大することを目指す。
こうした見直しは自営業者や退職者、企業の幅広い層の負担増につながるだけに報道も過熱。「納付期間延長で新たに100万円の負担増」といった見出しが躍っている現状に同省も困惑気味だ。別の幹部は「一人ひとりの老後の生活に深く関わることだけに、時間をかけて丁寧な説明と議論を心掛けていく」と話すが、国民の理解を得るのは容易ではなく、改革に向けた政権の本気度も問われることになりそうだ。
初の商社出身会頭、日本商工会議所・小林体制が始動
厚生労働省は24年末までに改革案をまとめる方針で、年金局のある幹部は「年金財政は年々厳しさが増している。次期改定では確実に成果を出す必要がある」と意気込む。
少子高齢化により、満額で月約6万5千円の基礎年金は給付水準低下が見込まれ、高齢者の暮らしへの影響が懸念される。そのため、基礎年金の財源となる国民年金保険料の納付期間延長や、会社員や公務員が加入する厚生年金からの財源投入といった方策の具体化を進める方針。
具体的には国民年金保険料の納付期間を現行の40年間から5年延長。20歳から始まる納付は「60歳到達時まで」から「65歳到達時まで」と変更する。さらに厚生年金や国庫から財源を拠出することで、マクロ経済スライドによる基礎年金の給付抑制策の終了時期を当初想定の46年度より前倒しし、目減り期間の短縮を図る。
このほか、厚生年金の適用拡大も大きなテーマだ。企業規模101人以上では一定の条件を満たす短時間労働者の加入が義務付けられており、24年10月に51人以上の企業も対象となる。次期改正ではこうした企業要件を撤廃した上で、対象業種を飲食店や宿泊業に拡大することを目指す。
こうした見直しは自営業者や退職者、企業の幅広い層の負担増につながるだけに報道も過熱。「納付期間延長で新たに100万円の負担増」といった見出しが躍っている現状に同省も困惑気味だ。別の幹部は「一人ひとりの老後の生活に深く関わることだけに、時間をかけて丁寧な説明と議論を心掛けていく」と話すが、国民の理解を得るのは容易ではなく、改革に向けた政権の本気度も問われることになりそうだ。
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