「新しい事業をやるためにもトップライン(売上高)を上げる成長を続ける」
住宅から始まり、今や物流施設事業や海外事業など、事業の幅を広げてきた大和ハウスだが、足元では他の産業と同様、混沌とする経済環境の影響を受ける。
【変化対応の経営】大和ハウス工業・芳井敬一社長が語る「経営基盤強化に大事なのはガバナンス。やはり決め手は人材投資」
円安も加わって、資材価格の上昇を招き、収益を圧迫する恐れが出ている。その意味で、その上昇分を、商品の価格に反映する「新価格体系」が求められているが、住宅の領域ではどうか?
一般国民の賃金はなかなか上昇せず、物価高を受けて可処分所得は減少。その中での住宅づくり。同社は、物流、商業店舗の領域でも存在感を高めている。
事実、大和ハウスの事業で成長を続けているのが、ネット通販の興隆などを受けた物流施設事業。同事業のさらなる開拓のため、用地の取得にも積極的。「土地の仕入れをもっと加速していく」と芳井氏。
この分野では、局面に応じて用地を「データセンター」として活用することも視野に入れており、これも事業の幅の広がりにつながっている。
そして海外事業は新たな成長の柱。特に米国では、2017年に戸建て事業を手掛けるスタンレー・マーチン社を買収。今、同社が米国を攻略する上での大きな足がかりになっている。
大和ハウスは、創業100周年に当たる2055年に売上高10兆円の実現を目指す。芳井氏は自らの役割を「10兆円に届くためのメンバーを揃えること」であり、「人づくり」だと強調。
そして、その育った「人」が新たな事業を生み、それによって「トップライン」(売上高)を上げて、成長していく姿を描く。
「育成した選手がメジャーに出て活躍する、野球のオリックスさんの姿は参考になる」
人づくりがこれからの成長・発展につながるという芳井氏の思いである。