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JFEホールディングス・柿木厚司社長の覚悟『「量」ではなく「質」を追求。脱炭素につながる製鉄法の確立を!』

財界オンライン 2022年12月20日 7時0分

製鉄の世界では、アルセロール・ミタルや中国勢などが、粗鋼生産量1億トン規模の「量」で席巻している。「日本勢は量ではかなわないが『質』で勝負していく」と柿木氏は語る。

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 例えば電気自動車用の「高機能電磁鋼板」などは、他の国には真似できない高い技術で実現したもの。この「質」を磨いて、世界との競争を生き抜いていく。

 今、世界は混沌とした状況だが、その中をどう日本の鉄鋼業は生き抜いていくのか─。

「ロシアのウクライナ侵攻で『地図』が変わった」

 2020年にコロナ禍で大きく需要が落ち込んだものの、21年には回復基調に。しかし、柿木氏が言うように、22年のロシアのウクライナ侵攻によって、世界の需要は再び下落基調に陥った。

 今後も円安による原材料価格の上昇や、地政学リスクによるサプライチェーンの混乱なども予想される厳しい状況が続く。

 その中でも、2050年の「脱炭素」という大きな目標に向けての技術開発をしなければならない。特に製鉄業は、全世界で約18億トンと、他の素材にはないくらい多くの量が生産される。

 そのため「単位量当たりのCO2排出量は多くない」(柿木氏)とは言うものの、総量としての排出はどうしても多くなってしまうというのが現状。

「世界の鉄鋼業にとって、カーボンをゼロにする製法を確立することが中長期的な技術的課題」と柿木氏。

 足元で「これだ」というような革新的技術は、まだ定まっていないが、候補として挙がるのは「水素還元製鉄」、「大型電気炉」、そしてJFEが中心に開発を進める「カーボンリサイクル高炉」といった製鉄法。

 これらの技術開発には国も基金を出して支援しているが、相当な投資がかかる世界。まずは国内で技術を確立し、それをアジアなど他の国々に対するソリューションビジネスにつなげていくということも視野に入れている。

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