欧米ほどではないにせよ、消費者物価上昇が日本でも加速している。生鮮食品を除く総合(コア)は2022年10月分で前年同月比+3.6%。第2次石油危機の影響が残っていた1982年2月以来の上昇率である。持家の帰属家賃を除く総合は同+4.4%に達した。
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コストプッシュ型の動きであることから、こうした物価上昇には持続性が伴わないとみるのが自然。経団連の十倉雅和会長は11月18日、エネルギー価格がピークを越えて少し下がっていること、米国の物価指数が少し緩むと為替相場は円高ドル安方向に戻りやすくなっていることを指摘し、高い上昇率は続きにくいとの認識を示した。
だが、政府による物価抑制策にもかかわらず、消費者物価の上昇加速は続き、日銀が異次元緩和を修正するのではという海外投資家の思惑がくすぶり続けるだろう。
過去に出荷価格や希望小売価格の引き上げという形で企業から発表された食品などの値上げが、消費者が実際に買う末端レベルまで浸透してきている。
11月の東京都区部消費者物価が市場予想よりも高い数字になったことが、それを示唆した。外食や理容など各種サービス業についても方向は同じで、電気代・関連資材・輸送コスト上昇を理由とする値上げに踏み切った事例を見聞きする場面が増えた。為替相場は円高ドル安方向に反転したものの、コストプッシュ型の物価上昇圧力が加わり続けている。
注目されているのは、大手電力会社による規制料金の引き上げ申請である。政府は総合経済対策で家計の電気・都市ガス料金支払額の抑制を打ち出しており、年明け1月検針分から支援措置が実行される。電気代では標準家庭で約2割(2800円ほど)が差し引かれる。
エコノミストは当初、大手電力の規制料金が燃料費調整制度に基づく上限に達して赤字が膨らんでいることを解決するための値上げ申請・認可と政府の家計支援措置が相殺されて、一定の時間差はあるものの、家計の負担は基本的にニュートラルとみていた。
しかし、大手電力の値上げ申請幅は3~4割台となっている。経済産業省が厳しく審査した上で値上げを認可する幅が決まるわけだが、差し引きで家計の負担が増えることになる可能性が強く意識される。しかも、政府の支援額は23年9月には半分になる。
未確定の要素が多いものの、12月の消費者物価は生鮮食品を除く総合でも前年同月比+4%台に達する可能性がある。政府の支援措置が押し下げ要因になるものの、日銀が掲げる「物価安定の目標」2%を超える時間帯が長引きそうである。
国内需要の強さに裏付けられた物価上昇ではないことから、日銀が利上げに動くわけにはいかないわけだが、金融市場では不安定な値動きが今後も続きやすい。
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だが、政府による物価抑制策にもかかわらず、消費者物価の上昇加速は続き、日銀が異次元緩和を修正するのではという海外投資家の思惑がくすぶり続けるだろう。
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エコノミストは当初、大手電力の規制料金が燃料費調整制度に基づく上限に達して赤字が膨らんでいることを解決するための値上げ申請・認可と政府の家計支援措置が相殺されて、一定の時間差はあるものの、家計の負担は基本的にニュートラルとみていた。
しかし、大手電力の値上げ申請幅は3~4割台となっている。経済産業省が厳しく審査した上で値上げを認可する幅が決まるわけだが、差し引きで家計の負担が増えることになる可能性が強く意識される。しかも、政府の支援額は23年9月には半分になる。
未確定の要素が多いものの、12月の消費者物価は生鮮食品を除く総合でも前年同月比+4%台に達する可能性がある。政府の支援措置が押し下げ要因になるものの、日銀が掲げる「物価安定の目標」2%を超える時間帯が長引きそうである。
国内需要の強さに裏付けられた物価上昇ではないことから、日銀が利上げに動くわけにはいかないわけだが、金融市場では不安定な値動きが今後も続きやすい。