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「地銀共同システム」のクラウド化 金融庁による再編誘発の思惑も

財界オンライン 2022年12月30日 15時0分

地銀の基幹システムをクラウド化する取り組みが業界再編を誘発するとの観測が強まっている。市場最大のシェアを持つITベンダーのNTTデータが「大幅なコスト削減を実現する」として現在4陣営に分かれている地銀連合の基幹システムを2028年からクラウド型の新システムに一本化すると発表した。 

 参加する地銀は業界全体の4割、計40行に及ぶだけにインパクトは大きい。 

 地銀にとってシステムは業務コスト全体の1~3割を占める「金食い虫」。大手ITベンダーが提供する共同システムの活用が進んできたものの、大半はメインフレームと呼ばれる専用の大型コンピューターを使う旧来型スタイルにとどまっている。 

 これをクラウドに置き換えられればコストの大幅削減が見込める上、マネーロンダリングやサイバーセキュリティ対策の機能向上も期待される。有力地銀である広島銀行が、IBMが提供するふくおかフィナンシャルグループとの共同システムから2030年度に離脱し、横浜銀行が主導するNTTデータ陣営に乗り換える方針を打ち出したのも抜本的なコスト削減を狙ってのことだ。 

「地域金融の安定化には地銀の数がまだ多過ぎる」。そう考える金融庁は所管の枠を超えて、ITベンダーに再編の大きなハードルになっている基幹システムのクラウドを活用した一本化を働きかけてきたが、今回のNTTデータの取り組みはそれが実った形とも言える。 

 再編に向けて、今後は「統合バンキングクラウド」に参加する40行に合従連衡の相手が広がる。横浜銀や広島銀など有力地銀が、首都圏や中国圏の中堅地銀などの集約に動くか。 

 または、青森銀や秋田銀、岩手銀と、東北銀やフィデアHDは、NTTデータ系でありながら別陣営だったが、今回の動きで系列が一本化され、形の上では「東北連合」を組むことも可能になる。 

 ITベンダーと金融庁が投じた一石がどう転がるか、市場も注視している。

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