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【新春インタビュー】東京海上ホールディングス・永野毅会長「日本的経営を見つめ直したガバナンスの構築を」

財界オンライン 2023年1月27日 7時0分

─ 東京海上ホールディングス会長の永野毅さん、現在本社ビルの建て替えに入っていますね。 

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 永野 「木造ハイブリッド」で、世界で最も木を使ったビルになります。 

 木はCO2をキャプチャーする上に、耐火性能、耐震性能も鉄骨と同等かそれ以上です。地球環境に優しい、新しい時代のビルにしていきます。 

 ─ コロナ禍、ウクライナ戦争は23年も続きますが、リスクの時代をどう生き抜こうと考えていますか。 

 永野 コロナ禍、ウクライナ戦争など様々な問題がありますが、それらに加えて考える必要があるのは人口減少です。 

 明治の中頃には約4000万人だった人口が、100年かけて1億3000万人になりました。それがさらに100年近くかけて、4000万人に戻りかねない状況です。 

 手を打つべきは少子化対策、人口減少でも前向きに生きることができる社会づくりです。人口が増えることを前提とした社会の仕組みを、減る前提で変えていく必要があります。このパラダイム転換を、いかに前向きにやっていくかが問われます。 

 ─ 日本は「失われた30年」からの脱却が課題です。 

 永野 日本は低成長が30年続いています。これを脱するためには潜在成長力の底上げが求められます。科学技術の向上、高スキルの労働者育成、高等教育の充実などが必要ですが、その中の1つが起業の振興です。 

 実は、日経平均採用企業の「年齢」の中央値は70歳で、米国のS&P500や欧州のユーロ500の中央値は20代後半です。日本に100年企業、200年企業が多いのは誇るべきことですが、昔のホンダやソニーのような企業が出てきておらず、企業が高齢化しているのです。 

 日本で起業できる環境を、さらにつくっていかなくてはいけません。そのためには、社会全体をもっと多様化する必要があります。 

 日本で生活したいという留学生と受け入れて、彼らとともに日本人の子供達が学ぶ。それによって刺激を受けて、主体的、自立的な子供達が自らリスクを取って起業する、という土台をつくることが大事です。 

 ─ これからの時代の日本の経営者の役割は? 

 永野 もっと自由な経営、野性味のある経営者を育てていく必要があります。 

 海外からのガバナンスの仕組みをただ受け入れるのではなく、日本型経営をもう一度見つめ直して、日本の強みを生かしたコーポレートガバナンスを世界に発信し、標準にしていかなくてはいけません。 

 23年は再び光り輝く日本にするための分水嶺となる年です。

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