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【キッコーマン・茂木友三郎名誉会長からの提言】「値上げもするし、賃上げもする。頭を切り替える時に来ている!」

財界オンライン 2023年2月10日 11時30分

─ 社会の成り立ちが変わり、世界が大きく変化する中で、キッコーマン名誉会長の茂木友三郎さん、日本の立ち位置は? 

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 茂木 コロナに加え、ロシアのウクライナ侵攻で世界は混沌としています。その中で日本の立ち位置は非常に難しい。日本はロシアの東側の隣国であり、北朝鮮も近い。武力で台湾を統一することを諦めていない中国も側にいるわけですからね。 

 戦後80年近く日本で戦争は起こっていませんが、ここへきて世界の情勢が変わってきました。地政学的に最も危険な地域のひとつであり、日本人の防衛や自衛に対する意識も変わってくるのではないでしょうか。やはり自分の国は自分で守るという意識を持つことが基本になると思います。 

 ─ その中で日本の経済をどうするかが課題です。 

 茂木 日本の経済は世界の影響を受けますから世界が落ち着かないと日本も安定した成長を続けることができない。できるだけ早く世界がノーマルに戻ってくることを期待しています。 

 ─ ミクロでは原材料やエネルギーの価格高騰が続きます。 

 茂木 コストが上がればコストダウンする努力をしなければなりません。また、生産性を高める努力をすることでコストアップを吸収する必要もあります。それで対応できないものは値上げしていくと。その値上げが適切に行われないと経済社会がおかしくなる。日本人は値上げをものすごく嫌います。今まで30年くらい、ほとんど値上げをしてこなかったわけですからね。 

 ─ だから思い切った賃上げもできなかった。 

 茂木 はい。ですから、値上げもするし、賃上げもする社会にしていかないといけません。頭を切り換える必要があります。 

 ─ キッコーマンの海外売上高は22年上期で7割超です。 

 茂木 為替の関係もありますが、海外では米国や欧州等ではしっかりと値上げができています。企業がきちんと説明すれば国民も流通業者も納得するのです。経済活動の中で、値上げが必要なところではちゃんと値上げをすることで、それが賃上げに結びついていくのです。 

 ─ 「令和臨調」を発足させました。この狙いは。 

 茂木 「統治構造」「財政・社会保障」「国土構想」の3部会を軸に日本が抱える先送りできない課題解決に向けて議論を始めています。準備ができたところから第1次提言を出す予定です。そして提言を出した後には実行できるものを実行していき、また次の提言を出していく。 

 経済人や学者に加え、政治家、地方の首長、さらには若い学生も巻き込んで議論していきたいと思っています。令和臨調には全部で100人近くの人が参加していますが、日本再生のためにも大いに盛り上げていきたいですね。

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