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13年に及ぶ海外駐在を経験 【日本郵船】次期社長に曽我貴也氏

財界オンライン 2023年2月7日 15時0分

日本郵船は2023年4月1日付で次期社長に取締役専務執行役員の曽我貴也氏(63)が就任することを発表。現社長の長澤仁志氏(64)は代表権のない取締役会長に、現会長の内藤忠顕氏は特別顧問に就く。新年度から新たな中期経営計画が動き出すタイミングでの社長交代だ。

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 業績面ではコロナ禍による物流網の混乱に伴うコンテナ船市況の高騰で、2期連続で連結当期利益1兆円を見込む。17年にコンテナ船事業を切り離して商船三井、川崎汽船と共同で設立した共同出資会社が奏功。長澤氏は稼いだ資金を活用した脱炭素への投資を決断した。 

 日本郵船の年間の温室効果ガス排出量は約1700万㌧。仮に炭素税などで1㌧当たり100㌦となれば、利益で2000億円規模の影響が出るという。そこで同社は経営の根幹にESGを置き、バイオ燃料のサプライチェーン構築やアンモニア運搬船の実証実験などを進める。 

 この長澤氏の敷いた「ESG経営」を曽我氏も引き継ぐ考え。一橋大学商学部在学中に茶道部に所属していた曽我氏は日本郵船に入社した後、定期船や客船事業を経てシンガポール、英国、タイといった海外でキャリアを積み上げた。会社員人生のうちの3分の1が海外駐在だ。 

 曽我氏は主に自動車輸送を歩んできた。直近では最高財務責任者を兼務し、業界でも先駆けた取り組みとなっているLNGを燃料とした自動車専用船20隻の整備を曽我氏が財務面から支えたことは「社内にも驚きを与えた」(関係者)。 

 ただ、足元の好業績は外部要因によって押し上げられた側面が大きく、来期は続かない。ESGを成長戦略の要とする曽我氏には収益を安定的に稼ぐ〝巡航経営〟が求められる。

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