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【金融庁】与党税制改正大綱でNISAの大幅拡充が決定

財界オンライン 2023年1月12日 18時0分

2022年末にまとまった23年度の与党税制改正大綱で少額投資非課税制度(NISA)の大幅な拡充が決まった。制度を恒久化した上で投資枠を大幅に引き上げ、非課税投資期間も無期限となる。金融庁が夏に出した税制改正要望に対して「ほぼ満額回答」(総合政策局幹部)と言える内容。庁内は「2千兆円を超す個人金融資産を預貯金から投資に振り向ける『器』が整った」などと沸いている。

 ただ、NISAを巡っては、これまでも累次の改善が加えられてきたにもかかわらず、足元の口座数は約1700万と成人人口の2割弱にとどまる。看板政策の新しい資本主義の柱として「資産倍増」を掲げる岸田文雄政権は、今回の抜本改正をテコに今後5年で口座数を3400万に倍増させることを目指している。実現には、金融機関が魅力的な投資商品を提供したり、国民の金融リテラシーを向上させたりすることが不可欠で、金融庁の指導力が試されそうだ。

 今回、恒久的な制度となり、非課税期間も無期限化されたことで「人生100年時代にライフプランに沿って柔軟に利用しやすくなる」(大手証券幹部)と期待される。また、金融庁の念願だった年間投資枠の大幅拡大も実現した。

 ただ、「器」は整ったとはいえ、新たな投資家を生み出す起爆剤になるかはなお不透明。まずより多くの国民に利用を促すには、証券会社や銀行、運用会社の商品開発や営業努力が問われる。販売高を競うだけでなく、個々の利用者のライフプランや資金運用ニーズに応じたきめ細かなアドバイスが求められる。

 NISA拡充を呼び水に、岸田政権が目指す「分厚い中間層」を形成できるか。金融庁の手腕が試される。

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